パプリカは赤や黄、オレンジなど色鮮やかな野菜で、スーパーマーケットなどの店先でもレストランの料理皿の上でもひときわ目立つ存在です。いまではすっかり日本の食卓でもおなじみになっています。
海外産のイメージが強いパプリカですが、近年では国内でも多く栽培されるようになり、6月からの夏の時季が“旬”とされています。パプリカは色によってどんな違いがあるのか、また何色が“オススメ”なのか。数多くの野菜や果物を生産している「糸満フルーツ園 けんちゃん」(沖縄県)の上原けんゆーさんに、詳しく教えて頂きました。
パプリカは緑色のピーマンとよく似ていますが、別の種類の野菜なのでしょうか。
「パプリカはピーマンの一種です。目安としては100g以上、大型で肉厚のものをパプリカと呼び、赤や黄、オレンジなどカラフルな色合いで、黒や紫、茶、白などのめずらしい色のものまで存在します。
ピーマンもパプリカもトウガラシ属の植物で、もともとヨーロッパで香辛料に加工されていた野菜です。パプリカはコロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパへと持ち帰った野菜といわれています。
15~16世紀のヨーロッパでは黒コショウなどのスパイス類が大流行しており、パプリカも粉末状に加工してスパイスとして用いられていました」(けんゆーさん)
でも、パプリカには辛みがありませんよね。ピーマンのような青臭さや苦みも感じません。
「パプリカにはいくつか種類があり、コロンブスが持ち帰ったのはトウガラシと同じように、少し辛味がある種類だったようです。当時、ハンガリーなどでは辛いパプリカを香辛料として、そのまま煮込み料理に使ったりしていたそうです。
現在日本で一般的に生産、流通しているパプリカは、ピーマンに比べて果物のような甘味があり、炒め物や煮込み料理のほか、サラダなどの生食にも向いています」(けんゆーさん)
パプリカでよく見かけるのは赤と黄、オレンジ色ですが、それぞれ成分や味に違いはあるのでしょうか。
「パプリカは品種や熟度などによって色が変わりますが、それぞれの色のパプリカでは、含まれている栄養素と、ほんの少しですが味にも違いがあります。
特にビタミンCの含有量は野菜の中でもトップクラスで、どの色にも共通して栄養素が豊富です。また、ピーマンと比べてビタミンCが約2倍、赤パプリカはカロテンも2倍以上含まれるなど、栄養成分に多少の違いがあります」(けんゆーさん)
パプリカの色による栄養素や味の違いについて、詳しく教えて頂けますか。
「赤色のパプリカにはベータカロテンが多く含まれています。そのため、抗がん作用がより期待できるのだそうです。赤はトウガラシに辛味をもたらす主成分であるカプサイシンの色なので、ほとんど辛味は感じないものの“パプリカはトウガラシ属だったのだな”と、感じさせてくれます。味は最も完熟に近いので、ほかのどのパプリカよりも甘味が強いのが特長です。
黄色のパプリカは、色素成分であるカロテノイドの一種で、肌の老化予防につながるルテインという栄養素を多く含んでいます。味はさっぱりとした甘味で少し酸味も感じられ、赤色のものよりも少し軽い味わいです。
オレンジ色のパプリカは赤と黄色の“いいとこどり”をしているものだといえます。赤パプリカと黄パプリカの栄養素を両方とももっているのが、オレンジパプリカなのです。
もし、“どのパプリカがいいか悩んじゃう”というときは、とりあえずオレンジのパプリカを選べば、赤と黄色両方の栄養素を摂ることができます。味は黄色よりも甘味が強く、赤パプリカに近い印象です。とりあえずはオレンジ色を選ぶというのが無難かも知れません」(けんゆーさん)
旬を迎えた国産のパプリカ。赤、黄、オレンジ三色の食べ比べをしてみてはいかがでしょう。それぞれの特色を意識することで、調理法や食べ方、ドレッシングの選び方などにも“新たな発見”があるかもしれません。
参考資料など
取材協力/けんゆーさん(https://www.instagram.com/kenyu.uehara)
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パプリカは色によって栄養素も味も違う。何色がオススメ?