木村花さんの母・響子さんと池袋暴走事故の遺族、誹謗中傷めぐって対談。当事者や家族として思いを交わす

木村響子さん(左)と松永拓也さん(右)

リアリティー番組「テラスハウス」に出演し、誹謗中傷を受けた後に亡くなった木村花さんの母・響子さんと、池袋暴走事故の遺族・松永拓也さんらが4月24日、誹謗中傷についての対談する会を開いた。

木村さんは、誹謗中傷をなくすことを目指す「Remember Hana」代表理事。講演や侮辱罪の厳罰化を求める活動に取り組んでいる。松永さんは、事故防止活動やメディア発信を通じてたびたび誹謗中傷に遭い、この3月には、SNS中傷で警視庁に被害届を出した。

この日は、誹謗中傷を受けた当事者や家族としての思い、当事者側と社会の受け止め方のずれなどについて、語り合う機会を設けた。

対談には他に、「Remember Hana」理事の佐藤大和弁護士、松永さんが副代表を務める関東交通犯罪遺族の会「あいの会」代表・小沢樹里さんも参加した。

木村さんは冒頭、対談の経緯について「松永さんから、誹謗中傷のことで何か一緒にできないかとご連絡がありました。話をしたときに、すごく目指す方向が似ていると感じました。共に声を上げることで、よりたくさんの方に届いたらいいなと思い、この機会を設けました」と説明した。

木村さんはまた、刑事司法に被害を訴えたり、裁判をしたりする中で「警察にも酷い対応をされたり、裁判で心を抉られる思いをしたりすることもあり、理不尽にしか感じられないこともあります。その現状をみなさんに知ってもらい、法律や教育やいろんなものをすすめてもらって、1日でも早く被害者が救済されることを望んでいます」とも訴えた。

松永さんも、自身の誹謗中傷の経験を踏まえて、次のように訴えた。

「自分も誹謗中傷を受けて、亡くなった真菜と莉子までも侮辱された。体験したことでこんなにつらいんだ、こんなに苦しんだと実感しました。私自身、交通事故を他の人に体験して欲しくないと、防止活動を続けてきた。誹謗中傷の苦しみを知ったからのには、こういうことが起きないよう一助になりたい。言論の自由はもちろん大事ですが、かといって、誹謗中傷受ける人が苦しみ続ける社会は、体験して良くない、交通事故と一緒に、誹謗中傷をなくしていきたい」

対談では、法律や報道、警察の対応への疑問点や、ネットリテラシー教育についてのそれぞれの考えも意見交換する。

松永さん(左)と木村響子さん(右)
松永さん(左から2番目)、木村響子さん(中央)

木村花さん、誹謗中傷の被害

木村さんはこれまで、花さんを中傷した人の刑事責任を問うたり、民事裁判を起こしたりしてきた。

中傷した2人が侮辱罪で略式起訴されたが、それぞれ科料9000円の略式命令にとどまった。響子さんは「SNSが普及した今の時代にあった罪の重さではない」と訴え、侮辱罪の厳罰化を求めるオンラインの署名活動を立ち上げた。

花さんへのSNS中傷を契機に侮辱罪の厳罰化の議論が進み、今国会の衆議院本会議で刑法改正案が審議入りしている。

これまで「拘留または科料」だった法定刑が、改正案では「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に引き上げられる。

民事裁判では、花さんが亡くなった後に中傷ツイートをした男性に対して、東京地裁が約129万円の賠償命令を言い渡した。(→その後の情報が見つからないので、場合によっては外します)

松永さん、誹謗中傷の被害

松永さんの元にはこれまで、数々の誹謗中傷が届いていたという。

3月下旬、事故を起こした飯塚幸三受刑者に対する裁判などの活動を念頭に「金や反響目当て」などと自身のツイートに書き込まれた。亡くなった妻の真菜さんや娘の莉子さんについて屈辱的な内容も書かれていた。

これまでは誹謗中傷は見ないふりをしてきたが、今回は「さすがに度を超えている」と、警視庁に被害届を提出。侮辱事件として投稿者が聴取され、現在捜査が進んでいるという。

松永さんはハフポスト日本版のインタビュー「直接、リプライで送ってきたので見てしまう。僕だけじゃなくて真菜と莉子のことも侮辱した。もう見ないようにと済ませることはできない」と説明。

投稿者の処罰が目的ではなく、いち個人の被害として矮小化せず、「次に起こさないという議論につながるための一石を投じたかった」と強調していた。

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木村花さんの母・響子さんと池袋暴走事故の遺族、誹謗中傷めぐって対談。当事者や家族として思いを交わす

Rio Hamada