性的マイノリティをめぐる報道が増加する中、より良い報道を求めてLGBT法連合会が主体となり策定した「LGBTQ報道ガイドライン – 多様な性のあり方の視点から」の第2版が18日、公開された。
一般社団法人fairも制作に携わり、新聞やテレビ、WEBメディアで働く有志の記者の協力を受けて改訂。第1版に引き続き、取材をする側、される側となる記者・当事者の双方に確認すべきポイントを提示した。
さらに第2版では、新たに「注意が必要なトピックやフレーズ」が追加。「LGBT男性」や「禁断の愛」といった表現の問題から、警察発表や事件報道の際のアウティングについての注意、トランスジェンダーに関する説明の望ましい表現などが説明されている。
取材をする際、される際のチェックリストでは、アウティング(本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露する行為)を防ぐために、本人のカミングアウトの範囲や、顔や名前といった掲載可能な情報の確認の徹底を、記者・当事者双方に求めている。
性のあり方をどのように表現するかについては、本人の意思の尊重を強調し、本文だけでなく見出し、テロップやSNSの投稿文などについても注意を促した。
今回新たに加えられた「注意が必要なトピックやフレーズ」では、例えば以下のような「表現」をめぐる注意点について掲載。近年の性的マイノリティをめぐる報道の中で頻出する表現の懸念や、新たに可視化されてきた課題、言葉の移り変わりなどについて解説した。
注意が必要なトピックやフレーズの例
2010年代後半からの性的マイノリティに関する報道の急増を受けて策定された「LGBTQ報道ガイドライン」。2019年3月に第1版が公開されてから約3年が経った。
複数の調査が示すように、現在では「LGBTという言葉は知っている」という人が多数を占めるようになった。しかし、その意味や実態、またはアウティングの懸念などの課題が広く共有されているとは言い切れず、差別や偏見の根強い社会において、今なお性のあり方について適切ではない表現も散見される。
さらに、普段から性的マイノリティをめぐる課題を追っている記者だけでなく、幅広いメディアがこのイシューを報道する機会も増え、裾野の広がりと同時に知識のばらつきなどのギャップも見えつつある。
第1版に引き続き、性的マイノリティをめぐる課題を取り上げる報道関係者や、取材を受ける当事者や支援者間で、より実用的な指標としてこのガイドラインが活用されてほしい。
「LGBTQ報道ガイドライン – 多様な性のあり方の視点から」第2版(※本編と簡易版の二種類)は、LGBT法連合会のWEBサイトより誰でも自由にダウンロードが可能だ。
「LGBTQ報道ガイドライン – 多様な性のあり方の視点から」第2版はこちら(LGBT法連合会WEBサイト)
ダウンロードしたPDFを各自で印刷し利用することも可能だが、正式なプリント版はLGBT法連合会WEBサイトの「CONTACT」ページより、頒価500円(税込)で購入できる。
「LGBTQ報道ガイドライン – 多様な性のあり方の視点から」第2版の公開を記念し、今週末開催の「東京レインボープライド2022」プライドウィークにオンライン配信イベントを開催。
4月30日(土)19時より、「『LGBTQ』報道の現在」をテーマに、ガイドライン改訂のポイントや携わった新聞やテレビ、WEBメディアの記者有志とともに、昨今の性的マイノリティをめぐる報道のあり方について議論する。
【イベント概要】
日時:4月30日(土)19:00〜20:30
場所:一般社団法人fairのYouTubeで配信
登壇者:
・五十嵐ゆり(LGBT法連合会 理事)
・西良朋也(LGBT法連合会 事務局次長)
・奥野斐(東京新聞社会部 記者)
・伊吹早織(BuzzFeed Japan News 記者)
・白川大介(日本テレビ報道局DX取材部 記者・ディレクター)
・司会、松岡宗嗣(一般社団法人fair 代表理事)
(2022年4月18日松岡宗嗣さんのYahoo!個人掲載記事「『LGBTQ報道ガイドライン』第2版が公開。『注意すべきフレーズ』が新設」より転載)
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「LGBTQ報道ガイドライン」第2版が公開。「注意すべきフレーズ」が新設