ロシア軍の占領から解放されたウクライナの町の路上で、民間人とみられる多数の遺体が見つかった件について、新たな事実が分かった。
ロシアの国連大使は「遺体はロシア軍の移動前には存在していなかった」と否定したが、衛星写真にはロシア軍の占領時から路上に遺体と見られる複数の影が写っていた。
複数の遺体が報告されたのは、首都キーウの北西24キロにあるブチャの町だ。2月末にロシア軍に占拠されたが4月2日、ウクライナ政府が「解放した」と報告した。
同日にはAFP通信のカメラマンがブチャの市街地に入り、民間人と思われる約20人の遺体を確認した。また、ウクライナ国防省の公式Twitterもブチャの路上に横たわる複数の遺体を撮影した動画を3日に投稿した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「ブチャだけで300人以上が殺され、拷問されたという情報がある」と発表。ロシア軍による民間人の虐殺があった可能性が浮上している。
一方、ロシアの国連大使ワシリー・ネベンジャ国連大使は4日、「町がロシア軍の支配下にあった間、暴力的な行動に苦しんだ地元住民は一人もいなかった」と虐殺を否定した。道路に散乱した遺体についても「ロシア軍の出発前には存在していなかったが、突然通りに現れ、道路に左右に一つずつ横たわっていた」と主張した。
しかし、ロシア政府の主張と矛盾する情報が、衛星写真から明らかになった。アメリカの宇宙企業マクサー・テクノロジーズが撮影したもので、米紙ニューヨーク・タイムズの調査チームが検証した。
それによると、ロシア軍が街を支配していた3月9日から11日までの間、ブチャのヤブロンスカ通りに、少なくとも11人の遺体と見られる影が出現した。
また、AFP通信によると、マクサー・テクノロジーズの広報担当者スティーブン・ウッドさんは4日、「ブチャを撮影した高解像度の衛星写真は、路上に横たわって何週間も野外に放置されている遺体を示すSNSの写真や動画を検証し裏付けている」と語った。
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「ブチャの虐殺」ロシア政府は否定も、人工衛星は見ていた。ロシア軍占領時から路上に遺体と見られる影