痛ましい被害が日々伝えられるロシアによるウクライナへの軍事侵攻。世界中から様々な団体や個人が支援や連帯を表明する中、日本の漫画家らでつくる公益社団法人「日本漫画家協会」もメッセージを発信した。
日本漫画家協会は、1964年12月に漫画家の全国組織として設立された。公式サイトによると、現在の理事長は『アリエスの乙女たち』『古事記』などで知られる漫画家の里中満智子さん、会長は『あしたのジョー』などで知られるちばてつやさん。そのほか、さまざまなジャンルの漫画家が役員として協会運営に当たり、会員数は約1700人だという。
「日本漫画家協会」としてのメッセージは2月28日、協会の公式サイトで公開された。
「私たち日本の漫画家は、ロシア連邦政府によります、ウクライナへの侵攻に大変心を痛め、速やかな武力行使の停止を願っております」とし、ロシアによる軍事侵攻を止めるよう求めた。
また、「世界で広く愛されている日本の漫画の隆盛は、第二次世界大戦の終結による、自由に漫画の描ける時代の到来とともに始まりました」とし、「戦争のない、平和な歳月こそが、今日の漫画の隆盛の礎であります」と漫画家の立場から戦争反対の意思を示した。
メッセージでは、ウクライナ、ロシア両国に言及。「ウクライナで、ロシアで、世界中で、日本の漫画が愛されていることは私たちにとって大きな喜びであり、その読者すべてもまた、平和の祈念の遺伝子の継承者なのです」と訴え、すべての漫画を愛する読者に向けて訴えた。
「ロシアによるウクライナ侵攻について」と題したメッセージの全文は、以下の通り。
私たち日本の漫画家は、ロシア連邦政府によります、ウクライナへの侵攻に大変心を痛め、速やかな武力行使の停止を願っております。
世界で広く愛されている日本の漫画の隆盛は、第二次世界大戦の終結による、自由に漫画の描ける時代の到来とともに始まりました。戦争のない、平和な歳月こそが、今日の漫画の隆盛の礎であります。
豊穣な日本の漫画の世界を拓かれた偉大な先人の多くは、苛烈な戦争の生存者であり、その創作の根底に「もう二度と戦争のない世界を子供たちに」という、渾身の祈りと慈愛を作品に込めました。
それらの宝物を渡された世代が、漫画の表現者として育ち、今、世界に拡がる日本発の漫画すべてに祈りと慈悲の遺伝子が受け継がれているといっても過言ではないでしょう。
ウクライナで、ロシアで、世界中で、日本の漫画が愛されていることは私たちにとって大きな喜びであり、その読者すべてもまた、平和の祈念の遺伝子の継承者なのです。
私たちが愛してやまぬ、創作という行為、それにより生み出される「繋がり」や「親和」とまったく相反する、破壊、殺戮、分断等を生じさせる武力行使の速やかな停止を私たち日本の漫画家は切に望みます。
2022年2月28日
公益社団法人日本漫画家協会
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
【ウクライナ侵攻】日本漫画家協会がメッセージを発表。「戦争のない、平和な歳月こそが、今日の漫画の隆盛の礎」(全文)