ネットの投稿動画がきっかけで判明した人権侵害に、中国ネットユーザーの怒りが寄せられている。中国・江蘇省の農村で、統合失調症を患う女性が、首に鎖をつけられ拘束されていたことが発覚。子どもも8人いて、権利の保障と真相解明を求める声が上がっている。
きっかけとなったのは、1月28日に、ショート動画プラットフォーム・TikTok(中国名:抖音)に投稿された動画だった。そこには、門のない土壁の小屋のなかで、薄着のまま立っている女性の姿が収められていた。投稿者とみられる男性が話しかけても、うまくコミュニケーションがとれないようだった。
驚くべきは、女性が鉄製とみられる鎖で壁につながれていたことだ。動画では子供が8人いることも報告された。
これに対し、中国のネットユーザーからは「非人道的だ」「奴隷のよう」などと批判の声が相次いだ。同時に、女性は人身売買の被害者ではないかといった指摘もされた。
地元政府は女性を保護し、調査を開始。2月8日までに、複数回にわたってその結果を報告している。
それによると、この女性は雲南省出身。1996年に離婚し、生まれ育った村に帰ったあと、精神疾患とみられる症状が出たという。同じ村の住民が、再婚相手探しと治療を兼ねて江蘇省へ連れて行ったところ、途中で行方不明になったと説明されている。
その後女性は、路上生活を送っていたところ、1998年にある男性に引き取られた。女性は「楊」という名字を与えられ、自分を引き取った男性と結婚。正式に婚姻手続きを済ましている。当局は、人身売買は確認されなかったとしている。
2021年6月ごろから、ものや人を殴るようになり、鎖でつながれたという。精神状態が落ち着いた際には、拘束を解かれていたという。
女性は統合失調症と診断され、現在、病院で治療を受けている。
ネット空間では、女性が長い間、人権侵害を受けていたとみられることに批判が相次いでおり、「なぜ8人もの子どもが産まれたのか説明がない。この女性の権利をどうやって保障する気なんだ」とか「性的暴行の罪には問われないのか」などのコメントが寄せられている。
また、地元当局の発表についても、「全く信じられない」などの声が上がっている。「治療と再婚相手を探しを兼ねて江蘇省へ連れて行った」などの記述に違和感を持つ人も多く、「連れて行った村の住民が売り飛ばしたのではないか」といった推測も多くみられる。
地元当局は、女性を引き取っていた男性らについて、違法性はないか調べを進めている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
首に鎖をつなぎ拘束、子どもは8人…「奴隷のよう」精神疾患抱える女性への人権侵害に、中国で怒り広まる