「今日は最強の休日」と1月11日、SNS上で話題になっている。「天赦日(てんしゃにち)」でかつ「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」という吉日が重なっていためだ。どのような日なのか調べてみた。
「暦を知る事典 」(東京堂出版)では、天赦日と一粒万倍日について、以下のように書かれている。
<天赦日>
天が万物を養い、その罪を赦す日の意から、陰陽道で一年中の極上の吉日とする日。百神が天の上る日であるので禁忌するところがないという。
<一粒万倍日>
一般には、文字通り一粒の籾が一万倍になってかえってくるという意味で、仕事始め・開店・種蒔き・金貸しなどによい日であるが、借金や借り物など増えては困るものは当然ながら凶である。
Oggi.jpによると天赦日は年間に数日、一粒万倍日は約60日あるという。2022年で天赦日と一粒万倍日が重なるのは、1月11日、3月26日、6月10日の3回だった。
年中行事や吉日を紹介する「大和猫」の公式Twitterでは、可愛らしいイラスト付きで「本日1月11日は【天赦日】と【一粒万倍日】の2つが重なる縁起の良い日」と紹介している。
『暦入門』(雄山閣出版)などによると、天赦日、一粒万倍日などの日々の吉凶を定めた内容は「暦注」と呼ばれている。もともとは中国の陰陽五行説などを元に、暦に記入された注記だった。江戸時代までは公式の暦にも記載され、人々の行動の指針として広く信じられていた。
それが変わったのは、明治6年(1873年)。太陰暦から太陽暦へ改める際に、太政官布告で「暦注は迷信である」として、政府は暦注を除外するように勧告した。こうして公式の暦からは、暦注がなくなった。
しかし、一般庶民の間では以前のように暦注のついた暦を望む声が多く、太陽暦に暦注を加えた「お化け暦」(おばけごよみ)が民間でゲリラ的に出版されるようになった。
一橋大学大学院・特任講師の下村育世氏の論文「昭和戦中期の暦」によると、太平洋戦争後の1945年、GHQの神道指令で、伊勢神宮が暦の独占頒布権を失い、カレンダー類は自由に発行できるようになった。
こうして「お化け暦」という言い方もなくなり、それまでタブーだった暦注も、堂々と復活するようになった模様だ。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
天赦日と一粒万倍日が重なる。 「最強の吉日」はどんな日?(2022年1月11日)