エマ・ワトソン氏の投稿した1枚の写真が、反発と賛同を呼んでいる。
大きな反応を引き起こしたのは、ワトソン氏のInstagramに1月3日に掲載された写真だ。
これは、2021年5月にガザ地区でイスラエルとパレスチナの衝突が発生した際に行われた、パレスチナをサポートする抗議デモの写真。
この時の紛争では、ガザ地区で子どもを含む少なくとも243人が犠牲になった。
写真は元々アクティビストたちの団体「バッド・アクティビスト・コレクティブ」が投稿したもので「Solidarity is a verb(団結は動詞だ)」というメッセージが書かれている。
ワトソン氏は写真の再投稿に、フェミニスト作家で学者のサラ・アーメッド氏の次の言葉を添えている。
「団結するとき、私たちの苦しみがすべて同じ苦しみであるわけではありません。痛みが同じ痛みであるわけではありません。希望が同じ未来のためのものであるわけではありません」
「団結は献身と労力を伴います。そしてたとえ同じ気持ち、同じ生活、同じ体を共有していなくても、同じ土台で生きているという認識を伴います」
多くの賛同や感謝と強い批判
パレスチナをサポートするワトソン氏の投稿にはたくさんのいいね!や11万を超えるコメントが寄せられている。
その多くがパレスチナの旗やハートの絵文字や、「声を上げてくれてありがとう」という感謝のコメントである一方で、一部のイスラエル高官はワトソン氏の投稿に強く反発した。
イスラエル国連大使のギラド・エルダン氏は、ワトソン氏が出演した「ハリー・ポッター」シリーズを引き合いに出し、「ハリー・ポッターのようなフィクションは、現実では起きない。もし起きるのであれば、魔法でハマス(女性を抑圧しイスラエルの壊滅を目論んでいる)とパレスチナ自治政府(テロをサポートしている)の害悪を取り除くだろう。そうなって欲しいものだ!」とツイートした。
Fiction may work in Harry Potter but it does not work in reality. If it did, the magic used in the wizarding world could eliminate the evils of Hamas (which oppresses women & seeks the annihilation of Israel) and the PA (which supports terror). I would be in favor of that! pic.twitter.com/u1TrP3sqSS
— Ambassador Gilad Erdan גלעד ארדן (@giladerdan1) January 3, 2022
さらに、イスラエルの元国連大使ダニー・ダノン氏も、「ハリー・ポッター」シリーズに登場する魔法界のスポーツ「クィディッチ」にちなみ、「反ユダヤ主義者のグリフィンドールから10ポイント」とコメントしている。
10 points from Gryffindor for being an antisemite.@EmmaWatsonpic.twitter.com/Qaqkx36JSg
— Ambassador Danny Danon | דני דנון (@dannydanon) January 3, 2022
一方で、ワトソン氏のパレスチナへのサポート表明を「反ユダヤ主義」扱いすることへの、批判も起きている。
アメリカの政治活動家リア・グリーンバーグ氏は、投稿を引用して「皮肉で不誠実な方法で反ユダヤ主義を武器にしてパレスチナの人々のための団結をシャットダウンさせようとする、完璧なデモンストレーション」とツイート。
a perfect demonstration of the utterly cynical and bad-faith weaponization of antisemitism to shut down basic expressions of solidarity with the Palestinian people https://t.co/9jmhAs3Otc
— Leah Greenberg (@Leahgreenb) January 3, 2022
また、イギリスの元閣僚のサイーダ・ワルシ氏は「パレスチナに対して団結を示すことは、反ユダヤ主義じゃない」「パレスチナに対するいかなるサポート抑えつけようとするこういった試みは決して受け入れられるべきではない」と投稿を問題視している。
Repeat after me Mr…
Showing solidarity with Palestinians is not antisemitism
Appalling comments from former Israeli Ambassador to the UN
These constant attempts to stifle any and all support for Palestinians must be called out.
Solidarity @EmmaWatson#Palestine 🇵🇸 #EmmaWatsonhttps://t.co/wldYw2PI36— Sayeeda Warsi (@SayeedaWarsi) January 3, 2022
声を上げ続けてきたワトソン
「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー・グレンジャー役で知られるワトソン氏は、俳優として活動しながら、女性の権利や気候変動、持続可能性など様々なアクティビズムに積極的に関わってきた。
2014年にはUNウィメンの親善大使に任命され、「HeForShe」と呼ばれるキャンペーンを立ち上げてジェンダー平等を訴えた。
また、2021年にイギリス・グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催された時には、自身のInstagramアカウントに、気候変動活動家らがアクセスできるようにした。ワトソン氏のInstagramのプロフィールには今でも「エマの公式Instagramは、匿名のフェミニストグループに乗っ取られています」と書かれている。
パレスチナ問題を巡っては、著名人や活動家など様々な人たちが、声を上げており、2021年5月のガザ地区での紛争発生時には、ベラ・ハディッド氏らがパレスチナをサポートする投稿をした。
また、アイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ」は2021年7月に、イスラエルによるパレスチナ占領地での製造販売を終了すると発表したが、この決定はイスラエル側から批判された。
バッド・アクティビスト・コレクティブは「団結は動詞だ」というメッセージについて、次のようにつづっている。
「団結とは単に受け身でサポートすることだけではなく、すべての人の自由のために闘うことです。本当の団結は、たとえ居心地が悪く困難な時でも、声を上げ行動することを意味します。団結は、公正さが地位や権力、快適さ、特権よりも重要だということを決定づけます」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
エマ・ワトソン、パレスチナをサポートする投稿で「反ユダヤ主義者」と批判される