中国ネット通販最大手・アリババが、上司から性的暴行を受けたと8月に告発していた女性社員を解雇したと、中国メディアが報じた。「嘘の情報を散布」したことが理由だという。
告発の対象となった男性上司は当時、アリババから「永久追放」処分となっていたが、刑事処分は見送られていた。
中国ネット通販大手・アリババでは8月、女性社員が食堂でビラを撒くなどの形で性的暴行を告発。それによると、男性上司と山東省済南市へ出張したところ、取引先との会食で大量の酒を飲まされ、体を触られたという。
さらに、女性が宿泊先で目を醒ましたところ衣服を身につけておらず、性的暴行を受けたとみられる痕跡があり、上司を問い詰めたが明確な答えはなかったという。
また、女性はその後、性的暴行を受けたと社内通報したが、「あなたの名誉のため」大ごとにしないと返答があったともした。
この騒動は中国の#Metoo運動の一環として注目された。告発を受けた男性上司はその後、アリババから永久追放処分とされた。地元検察によると、この男性はその後、逮捕はされず、15日間の勾留処分となった。
中国メディア「大河報」が続報を伝えたのは12月11日。告発した女性社員が会社側から解雇されたと報じた。記事には「労働契約解除通知」も掲載されていて、「上司から強姦され、会社は知っていながら処理しなかったという嘘の情報を散布した」などと書かれている。
解雇された女性は「大河報」に対し、「私は仕事上で何も間違いを犯していない。会社には解雇する権利はありません。事件が起きてから、性的暴行を受けた多くの女性からメッセージが届きました。性的暴行は受けただけで大きな傷を負いますが、その後の処理で二次被害に遭うことも多い。だから『勇敢に立ち上がろう』とはとても言えません。ただ彼女らが1日も早く普通の生活に戻れるよう望んでいます」などと話している。
アリババは8月9日時点で、内部調査の結果を社員向けに公表している。そこでは、男性上司は女性社員に対し「過度に親密な行為」をしたと認めていたとされる。
また、女性が被害を訴え出た上司についても「すぐに断固とした行動に出なかった。社内チャットも既読のまま返信していなかった」などと認定していた。
しかし、この一件で引責辞任となった元上司の幹部は、女性を名誉毀損で訴え出たことが明らかになっている。
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「上司の性的暴行」告発した女性社員 ⇒ アリババが解雇「嘘の情報を散布した」