3歳児に「日本語しゃべれねえのか」 母子への不当聴取訴訟、東京都は請求棄却求める

警視庁の警察官に、個人情報を同意なくトラブルの相手に提供されるなど違法な対応を受けたとして、南アジア出身の40代女性が東京都に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12月10日、東京地裁であった。被告の都は請求棄却を求めた。

原告側代理人は法廷で、原告女性の手紙を代読。「あの最悪な事件以来、自分はよそ者であると強く感じ、私たち家族は日本で平和に暮らす権利すらないと思うようになりました」「娘は今も不安とうつ病に苦しんで治療を受けています。彼女の将来が心配でなりません」との思いを明かした。

原告代理人の西山温子弁護士は意見陳述で、警察官による一連の対応について「違法行為の本質は、それらが人種差別に基づくものだ」と指摘。さらに、在日外国人は在留資格を失えば日本に滞在できなくなるという特有の不安を抱えているとした上で、「外国人である原告女性の弱みにつけ込み無理を通す行為で、その悪質さは特別に考慮されるべき」と主張した。

3歳児ひとりに聴取

訴状などによると、女性は南アジア出身で、10年前に来日した。2021年6月、女性と3歳の長女が都内の公園で見知らぬ男性とトラブルになった際、男性から「ガイジン」「在留カード出せ」などと詰め寄られた。

仲裁に入った30代男性の証言によると、駆けつけた警察官が、長女に対して「お前がどうせ蹴ったんだろ」「本当に日本語しゃべれねえのか」などと追及していたという。

母子は公園で約2時間の聞き取りを受けた後、警察署への同行を求められ、署で再び聴取をされた。その際、女性と長女を引き離し、長女ひとりに対して最大5人の警察官が個室で聴取を行った。長女が泣き続けていることに耐えかねた女性が部屋に入るまで長女単独での聴取は続き、少なくとも10分以上にわたった。

さらに原告側は、同意していないにもかかわらず、氏名や住所、電話番号といった個人情報をトラブル相手の男性に対して警察官が提供したと主張。約3時間にわたる署内での聴取では、帰宅の要望も聞き入れられず、トイレに行くことも長女のオムツ替えも認められなかったことや、任意であることを説明せずに母子の写真を撮影されたとも訴えている。

女性側の弁護団によると、3歳の長女は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いとの診断を受けているという。

(原告側の訴えの詳細をまとめた記事はこちら↓)

3歳児ひとりを警察官らが個室で聴取。南アジア出身の女性が東京都を提訴、「人種差別意識が根底に」

【國崎万智@machiruda0702・ハフポスト日本版】

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Machi Kunizaki