東京都練馬区の中学校が生徒が利用するSNSのパスワードを提出させた問題をめぐり、パスワード記入欄のあるリーフレットは昨年度も、全98の小中学校の児童・生徒を対象に配布されていた。
配布当初、パスワード欄は「未記載」や「マスキングした状態」で提出するよう呼びかけられておらず、記入した児童・生徒のSNSパスワードを学校側が把握できる状態になっていた。
区教委への取材や、ハフポスト日本版の調べで明らかになった。
問題となったのは「SNS練馬区ルール」。
子どもたちのSNSをめぐるトラブルを念頭に、各家庭への啓発やルールづくりを促すため、区教委が2020年度用に作成。SNSの1日の利用時間や「投稿しないよう気をつける内容」に並んで、パスワードを記入する欄がある。
リーフレットは2020年6月に順次配布。区の会議でパスワード欄に対して指摘があり、区教委がその年の8月、「未記載」 や「マスキングした状態」で家庭から提出してもらうよう各校に通知した。
だがこの間、すでに多くの学校が児童・生徒にリーフレットを配り終えていた。
区教委は、パスワードを提出した人数や、各校におけるリーフレットの保管方法などは把握していないという。情報漏洩やトラブルの報告は確認されていなかったと、ハフポスト日本版に説明している。リーフレットは児童・生徒側に返却された。
そして今年度。12月の保護者面談で活用しようとした区立中学校1校が、パスワード欄の記入が不要という説明をしないまま、276人にリーフレットを提出させたことが発覚し、この問題が明るみになった。
区教委は昨年度、リーフレットからパスワード欄をなくすことも検討したという。なぜそのまま使い続けたのか、ハフポスト日本版にこう説明する。
「家庭内でパスワードを共有するかについてはさまざまな意見がありますが、パスワードを共有し、保護者が管理することで、事件や事故に巻き込まれないようにしたいという人たちもいます。記入欄を残した上で、学校に提出する際は、未記載や消してもらうという対応をしていました」
今回の問題を受けて、今後はパスワード欄を削除する。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「SNSのパスワード」欄のある提出物、練馬区の小中学校が昨年度も配布していた