2022年のサッカーワールドカップまであと1年をきった。開催地は中東のカタールだ。
1年後の新型コロナの感染状況はまだ分からないが、現地で観戦するサッカーファンにとって、カタールでの大会は今までと大きく違ったものになるだろう。
イスラム教を国教とするカタールでは、公共の場での酔っ払いは厳しく禁止されており、愛情表現も制限されている。
FIFAのジャンニ・インファンティノ会長は11月21日、2022年のワールドカップは全ての人を歓迎するとし、LGBTQコミュニティにも会場での観戦を促した。
しかし、歓迎されない行為もある。
「カタールでは同性愛行為は違法です」と同国の外務省は注意する。カタールの法律では、「不自然な性行為や放蕩…違法もしくは非道徳的な行動を仕向けたり唆したりした場合」、最長3年間の懲役が刑されるという。
異性愛者のカップルの場合、「手をつなぐ」ことはできるが、公共の場でそれ以上の愛情表現は殆どできないようだ。カタール観光局によると、「公共の場でのあからさまな愛情表現はひんしゅくを買う」という。
また、「観光客(男女とも)は、現地の文化を尊重し、公の場で過度に露出の高い服装は避けるように」と観光局は述べる。「一般的には、男女とも肩と膝は隠すことを薦める」という。
カタール外務省によると、アルコールはワールドカップの「ファンゾーン」やスタジアムで部分的に販売されるが、一部はアルコール禁止エリアとなる。公共の場でアルコールの飲酒や酔っぱらい行為は厳しく禁止されており、最長6カ月の懲役が刑されることもある、と英インデペンデント紙は報じている。
酔っ払って騒ぎを起こすことも少なくない世界のサッカーファン。彼らが何千人も集まるであろうワールドカップでのこの制約は、間違いなく大きな問題となるだろう。
LGBTQコミュニティや女性のスポーツファンにとっては特に不安が大きい。カタールでは婚外でのセックスは違法で、女性移住者が未婚で妊娠した場合も懲役を刑される可能性がある。
こうした文化の衝突はカタールでのワールドカップを取り巻く問題の1つに過ぎない。
これまでも、カタールにサッカーの伝統が根付いていないことや、ワールドカップレベルのスタジアムがなかったこと、高い気温や人権問題などが問題視されてきた。
そして移住労働者に対しての人権侵害も、国際社会から強く非難されてきた。
カタールは移住労働者を利用し、大会に必要な8つのスタジアムをほぼ完成させている。しかしその労働環境は汚く抑圧的で、人権団体が現代の奴隷制度と表現するほどだ。2020年には、少なくとも50人の労働者が作業現場での事故で死亡し、500人以上が重傷をおった。
さまざまな問題があるにも関わらず、2010年にはアメリカやオーストラリアといった候補地をよそに、2022年大会の開催国に選ばれた。
アメリカの司法省によると、FIFA幹部らは何百万ドルもの賄賂を受け取っていたようだ。少なくとも14人のFIFA幹部が、アメリカ当局と協力していたスイス警察によって逮捕された。
裁判では、競技場選びからマーケティング、トーナメント契約に関連する、国際サッカー界の何十年にもわたる汚職が明らかになった。
ハフポストUK版の記事を、翻訳・編集・加筆しました。
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カタール・ワールドカップ観戦に行くなら知っておいて。公共の場での飲酒や「同性愛行為」などが禁止