アニメ『進撃の巨人』The Final Season製作委員会は11月15日、公式グッズ「マーレの腕章」の受注・販売を中止すると発表した。同委員会は「作中で人種差別、民族差別の象徴として描かれたものを安易に商品化したことは配慮を欠いた行為」として謝罪している。
『進撃の巨人』の原作単行本第23巻によると、この腕章はマーレ国で、エルディア人を他の人種と区別するために使われていた。「悪魔の血を引く」として差別されるエルディア人は、壁に囲まれた収容区に隔離。外出する際には9つの角がある星のようなマークが描かれた腕章の着用が義務づけられている。
アニメ版「進撃の巨人」の公式アカウントは14日午後8時に、「【マーレの腕章】が登場!3色セット、完全受注生産にて発売いたします。キャラクター着用の腕章を忠実に再現いたしました」とツイート。15日午前0時から12月3日午後11時59分まで特設サイトで申し込みできると発表していた。
この販売告知が出ると、「ナチス時代のドイツが、占領地のユダヤ人に着用させた腕章に似ている」として、世界各国のSNSから問題点を指摘されることになった。
「現実の差別・弾圧・虐殺を下敷きにした作品のグッズとして絶対に発売すべきでない」「ナチスの被害にあった全ての人々にとって、とても不適切で無神経」といった批判の声が相次いだ。
ホロコースト百科事典によると、ナチス政権が率いるドイツは第二次大戦中、占領地のユダヤ人を他の民族から隔離するために、主に壁に囲まれた「ゲットー」と呼ばれた区域に押し込めた。ポーランドとソ連だけで、少なくとも1000か所のゲットーが設置。ドイツ軍は、ゲットーに住むユダヤ人に対して、識別バッジまたは腕章を常に身に付けることを命じ、強制労働させたという。
このときに使われた腕章のマークは、ユダヤ民族のシンボルで、現在のイスラエル国旗にも使われている「ダビデの星」だった。都立図書館公式サイトによると、この6つの角がある星(六芒星)は古代イスラエル王国の英雄ダビデ王を表し、ユダヤ人の伝統的なシンボルとして親しまれているという。
Google Arts Cultureも「ポーランド侵攻の後、ユダヤ人は身元が特定できる印として黄色い星かダビデの青い星がついた腕章を服の上から身に付けることを義務付けられました。名誉を傷付ける黄色いバッジはすぐにドイツの占領地に広がりました」と記載している。
「進撃の巨人」製作委員会よりお知らせ
11月14日に受注を開始した「マーレの腕章」につきまして
当該商品は、作中に登場するキャラクターの衣装を再現した商品として制作いたしました。しかし、作中で人種差別、民族差別の象徴として描かれたものを安易に商品化したことは配慮を欠いた行為であったと認識しております。大変申し訳ありませんでした。
「進撃の巨人」製作委員会は、いかなる差別も認めるつもりはございません。つきましては、本日11月15日、当該商品の受注・販売を中止することにいたしました。すでに商品をお申し込みされた皆様、ならびに「進撃の巨人」ファンの皆様にも深くお詫び申し上げます。今後は同じことの無いよう、より一層気を引き締めて運営を行って参ります。
2021年11月15日
「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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