子ども番組「セサミストリート」に新たなマペットが加わります。
彼女の名前はジヨン。50年以上の歴史がある同番組初の、アジア系のマペットです。
ジヨンはエレキギターとスケートボードを愛する7歳の韓国系アメリカ人。彼女の名前とセサミストリートには、ちょっとした共通点があるそうです。
「韓国の名前には伝統的に2つの音節があり、それぞれ違う意味を持っています。ジは頭がいい、賢いを意味します。ヨンは勇気、勇敢、そして強いという意味です」「だけど調べてみたら、なんとジにはセサミ(ごま)という意味もあったんです」とジヨンはAPのインタビューで語っています。
韓国にルーツを持つジヨンは、セサミストリートの仲間たちにトッポッキなど韓国の食べ物や文化を伝えます。ただ、彼女がシェアするのは文化だけではありません。
セサミストリートを制作する非営利団体のセサミワークショップは、ジヨンを通して、人種差別に立ち向かう大切さを子どもたちに教えるといいます。
セサミワークショップは2020年に、子どもたちに人種間の平等について教えるプログラム「カミングトゥギャザー」を立ち上げました。
きっかけは、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡し、アメリカだけではなく世界各地で人種差別反対の運動が広がったこと。またこの年は、新型コロナウイルス拡大の影響でアジア・太平洋諸国系の人たちに対する差別や暴力も増えました。
人種の不平等や差別を無くそうという声が高まる中で、セサミストリートはこれまでにも人種や人種差別について教える内容の番組を制作してきました。
ジヨンが初めて登場するセサミストリートスペシャル「シー・アス・カミング・トゥギャザー」でも、人種差別を考える一幕があります。
このスペシャルは、セサミストリートの住人たちが「ネイバーデー(ご近所の日)」の準備をしている設定で、その最中に、ジヨンが誰かから「国に帰れ」という言葉を浴びせられます。
心ない言葉を言われたジヨンですが、仲間やゲストたちから「君は、みんなと同じようにここの人なんだよ」と言われ、勇気づけられます。
11月25日の感謝祭の日に放送されるこの回には、大坂なおみさんやシム・リウさん、パドマ・ラクシュミさんらアジアにルーツを持つゲストたちも参加。
シム・リウさんはこの回にゲスト参加した喜びを「本当に特別な機会だ」とTwitterにつづっています。
ここ数年、多くの素晴らしい経験をする機会に恵まれましたが、その中でもこれは突出しています。ジヨン、セサミストリートにようこそ!あなたと知り合えて嬉しいです。
ジヨンの人形師を務めるのは、キャスリーン・キムさん。ジヨンと同じ韓国系アメリカ人です。
ジヨンのキャラクター作りにも関わってキムさんは、ジヨンに2つの願いを込めているとAPのインタビューで語っています。
「1つは人種差別とは何かを教え、子どもたちが理解し、反対の声を上げるのを助けることです。もう1つは、ジヨンによってTVで違う外見の子どもを目にするのが当たり前になることです」
長年セサミストリートのキャストを務め、ジヨンが登場するスペシャルの共同ディレクターを務めたアラン・ムラオカさんも、アジア系の登場人物が出演することは、特にアジアにルーツを持つ子どもたちにとって重要だと述べています。
「自分と同じような人たちが画面の中の物語に出てくるのは、子どもたちにとって大きな力になります。それは自分が誰なのか、どんな人になりたいのかを考えるのを助けてくれます」
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「セサミストリート」に初のアジア系マペット。大坂なおみさんも登場し、人種差別を考える