米ラッパーであるトラビス・スコット氏が手がける野外音楽フェス「アストロワールド・フェスティバル」で、現地時間11月5日、観客がステージ前に殺到し、8人が死亡、多数が負傷する事故が起こった。
11月7日には、フェスの参加者がトラビス・スコット氏とイベント主催者のLive Nationを告訴。これから更に多くの訴訟が予想される。
フェスに参加したマニュエル・ソーザ氏は事故の数日後に、フェスは「適切な安全対策がとられていなかった」とし、ラッパーのスコット氏、主催者Live Nation、そしてその他の共同主催者を告訴した。ソーザ氏は8人もの命を奪った事故を「防止可能な悲劇」と話し、少なくとも100万ドル(約1.1億円)の賠償金を請求している、とBillbord誌が報じた。
2件目の訴訟では、他のフェス参加者がアーティストらが”暴動や暴力”を煽ったと非難し、主催者が会場で十分なセキュリティや医療サービスを提供しなかったと訴えた。捜査官はパフォーマンスで何があったかを細かく調べている。
法律の専門家らは、これから数日に起こる多くの訴訟により、フェスの負債は数億ドルに及ぶだろうと予測している、と地元紙ヒューストン・クロニクルは報じている。
14歳から27歳までの少なくとも8人が、フェス1日目である11月5日夜の事故で亡くなった。当日は約5万人が参加予定だったとし、観客の衝突の発端はまだ解明されていない。当時の状況を映した動画によると、たくさんの人の波がステージに向かって押し寄せ、カオス状態になっている。
一部のビデオでは、参加者が主催者にショーの中止を懇願する声や、心肺蘇生法の助けを求め叫ぶ様子が映っていた。
スコット氏は、最初の怪我人発生の報告、そして観客の大衆の中に救急車が到着したことを知った後もパフォーマンスを続けた。彼がステージからどれだけ観客の状況が見えたかは明らかではない。
また、現場の警察はフェスを早めに中止することによる影響を懸念していたという。
ヒューストン市警察署長のトロイ・フィナー氏はリポーターに対し、「5万人もの観客がいる状況で、突然中止することはできない。これだけ若い人たちの群衆だと、暴動が起きる危険性がある」と話した。
8人の死者を出したこの事故の後、スコット氏は当局に全面的に協力するとし、事故について「とてもショックで打ちのめされている」と述べた。彼は事故後、「アストロワールド・フェスティバルでの出来事で影響を受けた全ての人々と、そのご家族に祈りを捧げます」「私はこの悲劇の調査を行うヒューストン警察に全面的に協力し、ヒューストンのコミュニティと共に、助けを必要とする家族の回復をサポートします」とSNSにメッセージを投稿した。
— TRAVIS SCOTT (@trvisXX) November 6, 2021
今回告訴したソーザ氏は、スコット氏は過去のショーでも頻繁に攻撃的な行動を煽っており、この事故の責任はスコット氏がとるべきだ、と訴状で述べている。「彼の暴力を煽るような表現は、過去のショーでも何度もひどい暴力を引き起こしている」
現地当局は、死者を出した今回の事故を綿密に捜査すると強く述べた。
ヒューストン市のあるハリス郡の裁判官、リナ・ヒダルゴ氏は、「事故で亡くなった方の家族や影響を受けた人々は、その夜何があったか答えを知る権利があります」とヒューストン・クロニクル氏紙に述べた。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
アメリカの野外フェスで観客8人死亡 主催者やアーティストを告訴