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イーロン・マスクの野望を叶える「3カ月で火星に到達可能」な爆速ロケットエンジン

火星に行くロケットの開発において、大きな障害となっているのがロケットエンジンの効率の悪さです。現在のロケットに採用されている化学推進システムは大きな推力を得ることができますが、比推力が小さいのです。

しかし、この問題を解決するようなロケットエンジンが開発されています。これについて、海外YouTubeチャンネル『Daily Aviation』が解説しています。



*Category:テクノロジー technology|*Source:Daily Aviation

「火星に3ヶ月で到達する」イーロン・マスク待望のロケットエンジンとは?


火星に行くロケットの開発において、大きな障害となっているのがロケットエンジンの効率の悪さです。現在のロケットに採用されている化学推進システムは大きな推力を得ることができますが、比推力が小さいのです。

そこで、既存のロケットエンジンの代わりとして考えられるのが原子力を採用したエンジンです。原子力エンジンは、化学推進式エンジンの3倍で、秒速800〜900m程度です。参考までに、Space Xのラプターエンジンの比推力は、真空中で秒速380m、地上で330mとなっており、このパワーで火星に向かうのは時間の面からして現実的ではありません。

さらに、核燃料が液体または気体、またはプラズマの原子力エンジンでは、比推力は14000m/秒、さらには30000m/秒と、化学エンジンと比較して10倍以上の推進力となります。

しかし、核ジェットエンジンの実用モデルは存在しません。今のところ、アメリカでもロシアでも、宇宙船は化学推進システムで動いています。かのイーロン・マスクのSpace Xが作るロケットでさえ、液化メタンと酸素の混合物を酸化剤として使用しています。


なぜ原子力エンジンが採用されないのか。大きな課題となっているのは、その危険性です。原子力エンジンでは、ノズルから冷却材そのものや作動媒体が飛び出すのだから、その排気は非常に有毒で危険なのは当然です。

もし、この原子力エンジンが環境にも宇宙飛行士にも安全になるようなサイクルを作る方法があれば、それは本当の革命となるでしょう。少なくとも現状では、化学推進で宇宙まで飛び出し、そこから原子力ロケットに切り替えるのが現実的です。

プリンストン大学プラズマ物理学研究所の物理学者であるファティマ・エブラヒミ氏は、最近、火星に宇宙船を短時間で送り出すことができる推進システムの新しいコンセプトを発表しました。その所要時間は、なんとわずか3カ月。


このトカマク型リアクターはドーナツのような形をしていますが、中はほとんど空洞になっています。中身の役割を果たすのはプラズマで、粒子が原子炉の中で円を描くように秒速2万メートルまで加速されます。これでエネルギーを外に出せば、かなりの推力が得られます。

このトカマク型リアクターのアイデアを最初に提唱したのは、ソ連の物理学者オレグ・ラヴレンチエフです。トクマクの特徴は、ドーナツが大きければ大きいほど安定して動作することにあります。


逆に言えば、このトカマク型リアクターはサイズが小さくなればなるほど、安定性は悪くなります。トカマクでは、プラズマが原子炉の壁に触れた途端、不安定な挙動が現れます。そして、すぐにエネルギーを失い、原子炉の壁を破壊してしまいます。

もしこれでエンジンが崩壊してしまえば、悲惨な自体となってしまうでしょう。現状のトカマク型リアクターのプラズマを保持する世界記録は、南朝鮮のK-STARトカマクによる“たった70秒”です。しかも、これをロケットに搭載するには、このトカマク型リアクターはコンパクトにしなければいけません。そのサイズの中で、核物理学者がどうやってプラズマを制御するのかは大きな問題です。


この問題について、プリンストン大学の科学者たちは、原子炉の壁を破壊から守る方法を見つけ出しました。その結果、ホウ素が他のコーティングよりも優れた効果を発揮することがわかりました。これを活かして、トカマク型リアクターを破壊から守り、必要であれば宇宙で再起動させることができるとしたら、ロケット用エンジンとして大きな可能性が生まれます。


もちろん、実際に採用されたり、火星に行くためには様々な課題があります。しかしこの技術は、イーロン・マスクが夢見る惑星間輸送システムが役に立つのではないでしょうか。



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イーロン・マスクの野望を叶える「3カ月で火星に到達可能」な爆速ロケットエンジン