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「将来不安にどう答えてくれますか?」U30世代が主要6政党に疑問を投げかけた【公開討論】

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ハフポスト日本版は10月21日、オンライン討論会『U30のための公開討論ライブー政党の皆さん、政治は私たちのために何をしてくれますか?ー』を開いた。自民、立憲、公明、共産、維新、国民の6政党からゲストを招いて、U30世代からの疑問や不安を投げかけた。

若者世代に政治や社会のニュースを発信する「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事で、ハフポスト日本版U30社外編集委員の能條桃子さんがファシリテーターを務めた。

「政治家と若者がカジュアルに『会話』する場を作りたい」。討論会はそんな思いを出発点に企画。教育費や気候変動対策に取り組むU30世代(30歳未満)のゲストにも質問者として加わってもらった。

「政治は私たちのために何をしてくれますか?」。31日投開票の衆院選に向けて議論した。

出演ゲスト

自由民主党 片山さつきさん(元国務大臣、党総務会長代理、参議院議員)
立憲民主党 辻元清美さん(党副代表、前衆議院議員)
公明党 竹谷とし子さん(党広報局長・女性局長、参議院議員)
日本共産党 山添拓さん(党政策副委員長、参議院議員)
日本維新の会 藤田文武さん(党国会議員団副政調会長、前衆議院議員)
国民民主党 伊藤孝恵さん(党副代表、参議院議員)

ファシリテーター 能條桃子さん(ハフポスト日本版U30社外編集委員 / NO YOUTH NO JAPAN代表理事)
質問者 五十嵐悠真さん(大学4年生 / 「入学金」署名発起人)
質問者 中村涼夏さん(Fridays For Future Kagoshima / Japan オーガナイザー)

(※)討論会には、所属国会議員が5人以上いる6政党にご登壇いただきました。参加していない政党は、事前に行った「政党アンケート」よりトークテーマの政策をご紹介しました。

(上段左から)片山さつきさん、辻元清美さん、竹谷とし子さん(下段左から)山添拓さん、藤田文武さん、伊藤孝恵さん

 

若者の将来不安にどう向き合う?

第1部は「私たちと日本の将来が不安。政治は私たちU30のために何をしてくれますか」がテーマ。まずは、それぞれ立場から「U30のための『推しの政策』」を3つ挙げてもらい、学費や所得格差の解消について議論を進めていった。

自民・片山さつきさん

①学費・就学経費を究極タダに近く+出世払い!

②光ファイバー高容量Wi-Fi網でデジタル田園都市!

③エッセンシャルワーカーのお給料を引き上げ 業界の下請け体質を打破

片山さんは、「(親の経済状況や家庭環境が子供の人生に影響することを指す)親ガチャという言葉をなくしたい」と切り出し、大学以降も限りなく無償化や「出世払い」を目指すと説明。エッセンシャルワーカーの給与の低さに触れ、「働いただけの給料が目に見えて計算できるようにしていく」と語った。

立憲・辻元清美さん

①給付型奨学金の拡充

②同一労働・同一賃金の徹底

③選択的夫婦別姓とLGBTQ+差別禁止法の制定

辻元さんは自身も奨学金で大学に進学し、返済に苦労した経験を踏まえ、給付型奨学金拡充の必要性に言及。同一労働同一賃金を徹底するための法制化の必要性についても触れた。また、「多様な生き方、自分らしく生きられることが大事。選択的夫婦別姓とLGBTQ+、差別禁止法を作りたい」と語った。

公明・竹谷とし子さん

①仕事に直結するデジタル人材育成

②大学などの高等教育無償化の対象を拡大

③奨学金の返済「肩代わり」を全国展開

竹谷さんは、手に職をつけて給料を上げやすくするためにはデジタル人材の育成が有効だとし、「無料の職業訓練を拡充させたい」と回答。給付型奨学金の対象拡大とともに、奨学金の返済を企業や地方自治体が肩代わりしたときに国が支援することで、「負担を引き下げたい」と述べた。

共産・山添拓さん

①学費半額・入学金をなくす 最低賃金1500円

②気候危機 打開

③ジェンダー平等

山添さんは、大学進学や就職、子育ての段階で「お金がなければ満足にできない、借金しなくてはならない状況をなくしていくことが求められている」と回答。働くルール作りや気候危機の打開、ジェンダー平等にも触れた。「『U30のための』というよりは、U30の皆さんと一緒に進めたい」と呼びかけた。

維新・藤田文武さん

①ベーシックインカム(チャレンジのためのセーフティネット)

②教育無償化

③ドメイン投票、ネット投票

藤田さんは「セーフティネット機能があることが、チャレンジを生んでいく」とベーシックインカムの必要性を説明。教育無償化は、貧困を子供に連鎖させないことに加えて、親世代の不安を解消し、チャレンジを促すことにもつながると述べた。子育て世代の意見を政策に反映できる投票制度についても提案した。

国民・伊藤孝恵さん

①被選挙権18才に引き下げ(高校生衆議院議員!)

②オンライン投票を可能に(代表選投票率98%!)

③3歳児神話からの脱却(3歳からの義務教育)

伊藤さんは、政治に若い世代が少ないため、若者政策の優先度が上がりにくいと指摘。被選挙権年齢を18歳に引き下げ「高校生の衆院議員を生みたい」と語った。「3歳までは母親が家庭で子育てをするべき」といった価値観からの脱却にも言及。義務教育年齢を3歳からにして、待機児童の解消を図ると述べた。

能條桃子さん、五十嵐悠真さん

教育無償化など教育費の負担軽減に触れた政党が多かったことについて、五十嵐さんは「推し政策に入れてくれて嬉しい」と歓迎した。

その一方で、各政党の公約によると、学費支援に所得制限を設ける党と設けない党があることに触れ、「所得で(対象が)切られる問題について、政治家のみなさんにどう考えるか聞きたい」と問いかけた。

その背景には、所得が多くても親が教育を重視するとは限らなかったり、逆に親が子供の進学先に過度に意見したりと「子供の学びの場が、親の所有物になってしまう問題がある」と指摘した。

自民の片山さんは、「究極は大学まで無償化したいという大きなビジョンがある」とし、受験料補助などまずは大学進学に必要な支援を広めていきたいとの考えを示した。

維新の藤田さんは「理想的にいうと、所得制限はあらゆる社会保障で、できるだけ無くした方が良い。教育無償化も全ての方にやるべき」と話した。

立憲の辻元さんは「最終的には大学まで、親の収入に関係なく、教育の無償化を考えている。将来必ず実行していきたいと思っている」と述べた。

各党とも無償化を目指すという将来像は似ているものの、どのようなステップを経て進めるか、考えの違いが垣間見えた。

能條桃子さん、五十嵐悠真さん、中村涼夏さん。中村さんはオンラインで参加した

平均所得をどう増やすかについても議論が広がった。能條さんは「所得が上がらず、社会保険料の負担が増え、自分たちが使えるお金が増えない限り、不安になる」と指摘。

各政党とも所得を上げるための政策を訴えているものの、「どこを信じたら(本当に)あがるか分からない」と投げかけた。

公明の竹谷さんは「デジタル教育の無料の職業訓練を提供し、所得の高い分野に働く人をシフトしていく」と述べた。

国民の伊藤さんも同様にデジタル分野や、環境、防災・減災に着目しているとし、「コロナ禍から立ち上がるこの瞬間に、積極財政に転じて給料をあげていく」と述べた。

共産の山添さんは、若い世代を中心に給料が低い理由に非正規雇用の広がりがあると指摘。「非正規雇用は一時的で臨時的な雇用に限り、非正規から正規への流れを作ることで給料をあげる」と話した。

政党アンケートより

選択的夫婦別姓や同性婚、ジェンダー平等の実現は?

第2部では、「日本は『先進国』だと胸を張って言いたい!政治は私の環境・人権意識にどう応える?」をテーマに、ジェンダー平等や人権政策、気候変動対策について議論した。

冒頭で中村さんは、自身が取り組んでいる気候変動について「人権も大きく侵害する重大な問題」と指摘。「(気候変動やジェンダー平等について対策が進まないのは)票にならないからなのかなと悲しく感じています。(若い世代と)乖離が見られると思っている」と話した。

ジェンダー平等は、ハフポスト日本版とNO YOUTH NO JAPANが政党や政治家に「特に積極的に取り組んでほしい課題」を尋ねたアンケートでも、U30世代の関心が高かったテーマだ。

「選挙アップデート for U30」

共産の山添さんはジェンダー平等について男女の賃金格差の観点から、「女性を非正規雇用に追いやって、あるいは女性の多い職場、介護や保育、こういうところの低賃金を放置している。そうした政治の責任だと思う」と話した。

国民の伊藤さんは、デジタル時代の人権について言及した。「サイバー空間を含め個人として尊重されている、データが守られているとは言いがたい状況」と指摘し、データ基本権の設定を訴えた。男女平等法案の必要性にも触れた。

能條さんは「これから結婚する私たち世代が求めているのが、選択的夫婦別姓や同性婚だと思う。それでも実現できない理由は何か」と質問した。

自民の片山さんは「今の家族の戸籍制度をやめて全く別のものにしないと社会生活の不便が取り除けないのだろうかと考えて、あらゆる社会生活で通称を使用できる法律を考えている」と回答した。

立憲の辻元さんは、すでに制度を実現するための法案を提出してきたことを踏まえ「愛する人と誰とでも平等に結婚できるのは人権、自分らしく生きる基本だと思います」と述べた。

政治の世界におけるジェンダーギャップについても語り合った。今回の衆院選では、186人の女性が立候補したが、全候補者に占める割合は17.7%にとどまった。政党別で見ると、自民党、公明党が1割未満だった。

公明の竹谷さんは「私自身も残念に思っている」としつつ、「女性だけではなく男性も同じだが、家庭の仕事、子育て、介護、そういったものと仕事を両立する環境作りをしないといけない」と語った。

維新の藤田さんも「国会議員に女性は少なく、発掘は大変」と認めつつも、若い世代や女性が議員になると、受けられる政党助成金の比率が高まるといった形で、政党に動機付けをする仕組みを提案した。

関わることに意味がある、と思える政治を

討論の最後は、U30世代に向けてのメッセージで締めてもらった。

自民・片山さつきさん(党総務会長代理、参議院議員) 皆さんを支えるために、いつでも再チャレンジできる制度を作る。素敵な日本を将来に残してほしい。皆さんに夢を託したい。そのために私たちもがんばる。

 

立憲・辻元清美さん(党副代表、前衆議院議員) 10代・20代が自分らしく生きられる、多様な生き方を保障するのが政治だと思っている。そういう制度をいっぱい作っていきたい。

 

公明・竹谷とし子さん(党広報局長・女性局長、参議院議員) いくら耳障りのいいことを言っても実現しなければ、政治家としては価値がない。若い人の声、小さな声を聞く政策を実現する。

 

共産・山添拓さん(党政策副委員長、参議院議員) 若い世代は学生、就職、子育てとどの段階でも困難に直面してると思う。気候危機、ジェンダーの問題、一緒に変えようと呼びかけたい。

 

維新・藤田文武さん(党国会議員団副政調会長、前衆議院議員) 個の選択をできるだけ後押ししたい。チャレンジは無限大だと思う。チャレンジできる、失敗しても下支えできる制度を作りたい。

 

国民・伊藤孝恵さん(党副代表、参議院議員) 良い野党がいないと、良い与党が生まれない。新しい野党像を作ろうともがいている。もっと若い人たちが政治の場に来てほしい。

メッセージを受けて五十嵐さんは、若い世代の投票率の低さの背景として、「政治が僕たちを助けてくれた、という実感がないからじゃないか」と指摘。「若者が政治に関わって意味があると思えるよう、まずは何かを実現し、制度を僕たちに届けてほしいと感じた」と話した。

中村さんは「公約を果たすのはもちろんのこと、ぜひ公約が本当に十分なのか、もっと野心的にして、実現してほしい」と語った。

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