「責任逃れの言い訳でしかない」真相究明を政府に提言。学生らが会見で求めたこと【#JusticeForWishma】

このままでは第二、第三のウィシュマさんが生まれることは避けられないーー。

名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に死亡した問題で、支援団体の学生たちが9月16日、参議院議員会館で記者会見を開き、政府に対して真相究明と再発防止を求める提言を公表した。

 

ビデオの全面開示、尊厳守る収容環境に

会見を開いたのは、ウィシュマさんへの面会支援を続けていた「START」や、支援団体「BOND」の学生たち。政府に対し、主に以下の点を提言した。

  • 入管庁から完全に独立した第三者調査委員会の設置
  • ウィシュマさんの遺族に対し、代理人弁護士同席のもと、監視カメラのビデオを全面開示すること、および国会議員への開示
  • 名古屋入管と入管庁の責任者に対する処分の再考
  • 患者の権利と医師の独立性を確保する入管医療体制の抜本的改革
  • 被収容者の尊厳が守られる収容環境(支給食、食品の差し入れ、自由時間、外部との通信など)の整備

BONDの川村ひなのさんは、「私たちはとてもシンプルなことを要求している。密室で何が起こっていたのか、せめて遺族と代理人弁護士に教えてほしい。これ以上、被収容者の命、外国人の命や権利をないがしろにしないでほしい」と訴えた。

7万7000筆超の賛同集まる

入管庁は8月、ウィシュマさんが死亡した経緯を調査した「最終報告書」を公表。これに対し、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウなどは報告書が「表面的かつ限定的な改善策の列挙に留まっていると言わざるを得ず、死亡事件の原因究明・再発防止の検討として全く不十分である」などと批判。調査結果に対し、抗議声明を発表している

STARTのメンバーの千種朋恵さんも、記者会見で「名古屋入管の個別の問題だとして、現場の職員に責任転嫁して問題を矮小化している」と指摘した。

「ウィシュマさんに適切な治療を受けさせなかったことや、仮放免を許可しなかったこと、職員のウィシュマさんに対する虐待ともいえる対応について、医療体制の不備や、情報共有の不十分さ、職員個人の意識の欠如を原因として挙げています。しかしそれらは、入管庁や名古屋入管の幹部が責任逃れをするための言い訳でしかありません」(千種さん)

学生らは、真相究明ためのビデオ開示と再発防止の徹底を求めるネット上の署名キャンペーン「#JusticeForWishma」を7月にスタート。9月16日時点で、7万7000筆以上の賛同が集まった。

「日本で暮らしていく一市民として」

会見では、署名とともに寄せられた賛同者のメッセージも紹介された。

「事実の解明と、遺族へのビデオの公開は最低限の国の責任だと考えます」「自分の子が外国で亡くなった時、一体何があったのか、知りたいと思うのは、人として当然の事です」などの声があったという。

川村さんは「市民の抱く疑問に政府としてきちんと答えてほしい。これは署名をたち上げた私たちが言っていることではありません。署名に賛同した多くの市民が、入管の対応はおかしい、変わるべきだと言っている」と強調。「私は学生として、日本でこれからも暮らしていく一市民として、人の命や権利を守る社会に生きていきたいと考え、こうして声を上げています」

一次集約した5万筆超の署名は8月、入管庁に提出した。団体側は、今回公表した政府への提言とともに、10月1日に署名の第二次提出をするという。

9月25日には、ビデオの全面開示を求める全国一斉デモが行われる。

ウィシュマさんの死亡問題をめぐって、遺族は9月10日、ウィシュマさんが亡くなるまでの約2週間分のデータのうち、約2時間に編集された監視カメラの映像を開示される予定だった。だが、遺族が求めた弁護士の同席を入管庁が認めなかったため、閲覧は見送られた

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Source: ハフィントンポスト
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Machi Kunizaki