アフガニスタンで政権を掌握したイスラム主義組織「タリバン」。
BBCなどによると、9月12日に国内の大学で男女共学を禁止し、女性は髪を隠す「ヒジャブ」を着用するよう義務付ける方針を表明した。
「女性の教育や就労には反対しない」と主張しているものの、女性を抑圧する向きが強まっている。これに対し、アフガン出身の女性らが、カラフルな民族衣装を身にまとった写真を続々とSNSに投稿。連帯して抗議の意を示している。
CNNによると、最初にこのSNSでの抗議運動を開始したのは、アフガニスタン・アメリカン大学の元教員バハル・ジャラリさんだとみられている。
「#AfghanistanCulture(これがアフガンの文化)」というハッシュタグとともに、グリーンをベースとし、刺繍などがあしらわれた民族衣装の写真を投稿した。
ジャラリさんが抗議運動を始める前の11日、首都カブールで、目以外の顔と髪を覆い、目の部分だけを出す黒い「ニカブ」を着用した女性らが大学に集まり、タリバンの男女分離政策を支持するデモを行った。
プラカードには「イスラム戦士の態度と振る舞いに満足している」と書かれており、タリバンの旗を振る人々もいた。
BBCのインタビューで、ジャラリさんはこの抗議運動を始めた理由について、「(タリバンが広める)メディアで映し出されている服装(親タリバン集会に参加した女性が着用した服装)を世界に知らせたかった。これは私たちの文化ではないし、アイデンティティでもない」と説明している。
ジャラリさんの投稿後、多くのアフガン出身の女性による、「#AfghanistanCulture」や「#DoNotTouchMyClothes(私の服に手を触れるな)」のハッシュタグを添えた投稿が続いた。
イギリスで初めてのアフガン出身の公職者である労働党のペイマナ・アサドさんは、「これがアフガニスタンの文化です」と、緑、赤、青など様々な色の民族衣装を着た写真を投稿。「私たちの文化的な服装は、タリバンに押し付けられたものではない」と指摘した。
アフガンにルーツを持つジャーナリストたちも、この運動に連帯している。
ドイツの国際公共放送DWニュースのワスラット・ハスラットナジミさん、イギリスBBCのサナ・サフィさん、ソダバ・ハイダレさんらも、それぞれTwitterに民族衣装をまとった写真を投稿した。
1996~2001年の旧タリバン政権下のアフガニスタンでは、女性の権利は著しく制限。女性は学校や大学への進学が禁じられていた。
2021年8月に再び政権を掌握すると、「イスラム教が許容する範囲で、労働など女性の権利の平等」を認めると主張していた。
しかし実際には、男女共学が禁止され、女性の服装を厳格に規程するなど、女性の自由を侵害する傾向が際立っている。タリバンによる首都制圧以降、カブールで働く女性記者が、7分の1以下に減っているとする国際NGO「国境なき記者団」の調査も明らかになっている。
朝日新聞デジタルによると、4日にはカブールで女性抑圧に対する抗議デモが行われたが、戦闘員らに殴られ、頭から血を流したとされる女性の動画がSNSに拡散していた。
タリバンは、「勧善懲悪省」を20年ぶりに復活させることも発表している。 旧タリバン政権時代に同省は、頭から足首までをすっぽりと大きな布で覆う「ブルカ」の着用をしない女性を厳しく摘発していた。
Source: ハフィントンポスト
アフガン出身の女性、SNSにカラフルな民族衣装の写真を投稿。タリバンの女性抑圧に抗議