アメリカテキサス州で9月1日、妊娠6週目以降の人工妊娠中絶を禁止する州法が施行された。
複数の人権団体が法案の差し止めを求めていたが、連邦最高裁も同日差し止め請求に応じない決定をした。これにより、テキサス州の女性たちは憲法で保障されてきた中絶の権利が奪われることになった。多くの女性が6週目では妊娠に気づかないため、実質ほとんどの人たちが中絶を受けられなくなる。レイプや近親相姦などによる例外は認められていない。
著名人の間でも、この州法の施行に対し抗議の声が多数あがっている。
歌手のビリー・アイリッシュは自身のインスタグラムのストーリーに複数の画像を投稿。「私は本当にうんざりしてる。女性の権利のことになると男性は何も言わないことに吐き気がする」「女性の身体についての法律を男性が決めるべきじゃない」などと、強い言葉で怒りをつづった。
ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』などに出演する俳優のリース・ウィザースプーンはTwitterに「#BansOffOurBodies」のハッシュタグとともに、「私は、自身の健康と身体について決定する憲法上の権利を持つテキサスの女性たちとともに立ち上がります」と投稿した。
歌手のピンクも、メッセージが書かれた画像とともにTwitterを更新。「妊娠6週目以降の中絶禁止という異常な状況に直面しているテキサスの人々と連帯します。この禁止法は、アメリカ全体の未来図になるかもしれません。私たちが何もしない限りは」と危機感を露わにした。ピンクは同じ投稿の中で、女性の性や出産に関する健康と権利を支援する非営利組織「Planned Parenthood」が募る署名サイトについても共有している。
歌手のルーシー・ダカスは、今後テキサスで行うライブでの収益は、人工妊娠中絶のための基金に寄付するとTwitterで発表した。「もしあなたがそれを望まないなら、(ライブには)来ないで構いません」ともつづり、強い意思を示した。
若者に人気の歌手ヤングブラッドもTwitterに1分ほどの動画を投稿。「あなたの身体について決定できるのは、あなた一人だけ」と呼びかけ、「ただそこに座っているだけの人たちが、その選択を奪い権利を剥奪することに、本当にうんざりするし、がっかりする」と怒りを表した。
他にも多くのアーティストや俳優ら著名人が、中絶禁止法を批判し、女性の権利擁護を求める声をあげている。
ジョー・バイデン大統領は、3日に発表した声明の中で、同州法について「全くの他人が、女性が直面する最もパーソナルで、個人的な健康上の決定に介入できるように力を与えられている」と非難。
保健福祉省や司法省に対し、「テキサス州の女性が安全で合法な中絶を受けられるため連邦政府が何をできるか」検討を進める指示を出したという。
Source: ハフィントンポスト
ビリー・アイリッシュ「本当にうんざり」。テキサスの中絶禁止法施行に、多くの著名人が抗議