五輪開催による感染拡大への影響は?パラリンピックの方針を解説(組織委の会見)

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は8月20日、オリンピックによる国内感染への間接的な影響について「7月後半からの感染拡大に全く貢献していないとは言いにくい」という専門家の見解を示した。

新型コロナ対策の専門家ラウンドテーブル(第5回)後の記者会見で明かした。

見解の中では、同時に「その一方で、ステイホーム観戦が人流減少に貢献した可能性もある」とも示されており、玉虫色の評価だった。

五輪開催の間接的な影響は?

組織委は会見で、東大大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授らによるレポートを示した。

オリンピックによる国内感染への影響を振り返った内容だが、約5万人の海外入国者による感染拡大の影響について「きちんと検証するのは非常に難しい」という説明にとどまった。

開催の間接的な影響で起きたこととして、次の4点を挙げている。

・飲食店でマスクをせずに大きなテレビスクリーンで大勢で応援

・普段会わない友人を家に呼んで応援

・開会式の日の五輪会場周辺・ブルーインパルス見学・ロードバイク観戦等

・五輪開催をしたことで起きたかもしれない自粛意欲の低下・要請に従う意欲の低下

こうした状況から「感染拡大に全く貢献していないとは言いにくい」と説明。人々の自粛意欲については、オリンピックが中止になった場合との比較ができないことなどを理由に「間接的な影響の定量化は非常に難しい」とだけ説明している。

五輪の感染・対策状況は?

組織委はまた、東京オリンピックにおける感染・対策状況も発表。

7月1日から8月8日の期間に実施された空港検疫検査では、検査数4万2861件のうち陽性者は37人で、陽性率は0.09%。スクリーニング検査は、検査数が67万6789件のうち陽性者は163人で、陽性率は0.02%だったという。

ラウンドテーブルでの総括として、組織委MOC・チーフの中村英正氏は「オリンピックについては、プレイブックに基づいて、大きな感染増加がない状況で大会を終えたことを評価いただいた」と述べ、対策の効果を強調した。

滞在人口の変化は?

国立競技場周辺などの滞在人口の変化も発表された。別のイベントが開催された7月4日と開会式の7月23日を比較すると、ブルーインパルスが飛行した正午ごろと夜11時ごろは、約3500〜3700人増加していたという。

大会期間中(平日と休日)の滞在人口は、オリンピック開幕直前と比べると、夕方の時間帯では減少していたという。

パラリンピックの方針や対策は?

パラリンピックに向けて、組織委は3点の検討事項をあげた。

1つは、オリンピックのアスリートよりも重症化のリスクを抱えているとして、パラアスリートに対する「きめ細やかな対応が必要」と説明。

2つ目は、感染状況や地域医療の逼迫がオリンピック開催時に比べて悪化していることを踏まえて、プラスアルファの対策を上げた。

ラウンドテーブルでは、選手に接触する国内関係者に対して、検査の充実や、外食や集団での飲酒の自粛呼びかけを求める意見が上がったという。海外関係者に対する14日間の行動ルールも、期間の延長を検討すると説明している。

3つ目は、無観客にした趣旨の発信。

中村氏は「この感染状況下で開催することについて、間違ったメッセージにならないよう」と述べ、不要不急の活動や人を招いての自宅観戦の自粛を求める考えを示した。

学校連携観戦は?

パラリンピックでは、小中校生を対象とした「学校連携観戦」が予定されており、東京都だけでも約13万2000人が観戦を希望しているという。会場によっては、数千人規模で観客が入る見通しとなっている。

記者会見では、学校連携による感染リスクや対策について質問があった。

ラウンドテーブル座⻑の岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所長)は「いま子供が感染して重症化するリスクはそんなに高くない。子供たちの間での感染力が回っている状態でもない。ただし、周辺の影響を受けて子供の感染者数は増えてきている」と説明。

続けて「往復の交通や会場内での観戦の方法で、きちんとマナーを徹底しないといけないと(ラウンドテーブルで)申し上げた」と述べた。

別の記者から保護者の不安を大きいことを指摘されると、「多数の保護者が不安になっているのは、考慮する条件になる」と返答。

「一律に全部OKと言っているのではなく、状況状況の判断は必要。小中学生の観戦はやるならば安全にできるようにきちんと検証が必要」という考えを明かした。

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Source: ハフィントンポスト
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