新型コロナのデルタ変異株は「従来よりも潜伏期間が短くウイルス量も1000倍以上に増加する」と判明

2020年末にインドで確認され、2021年5月11日にWHOから「VOC(Variant of Concern、注視すべき変異)」に指定された新型コロナウイルスのデルタ変異株(B.1.617.2株)は、従来のウイルスよりも感染力が強いとされています。学術誌のNatureに掲載された中国・広州市にある広東省疾病予防管理センターの研究チームによるプレプリントで、「デルタ変異株は潜伏期間が従来のものよりも短く、体内で複製するウイルス量も1000倍以上に増加することが判明した」と発表されました。

サイエンス

新型コロナのデルタ変異株は「従来よりも潜伏期間が短くウイルス量も1000倍以上に増加する」と判明

2020年末にインドで確認され、2021年5月11日にWHOから「VOC(Variant of Concern、注視すべき変異)」に指定された新型コロナウイルスのデルタ変異株(B.1.617.2株)は、従来のウイルスよりも感染力が強いとされています。学術誌のNatureに掲載された中国・広州市にある広東省疾病予防管理センターの研究チームによるプレプリントで、「デルタ変異株は潜伏期間が従来のものよりも短く、体内で複製するウイルス量も1000倍以上に増加することが判明した」と発表されました。

How the Delta variant achieves its ultrafast spread
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01986-w


新型コロナウイルスのワクチンが開発され、少しずつ接種者が増えることで感染拡大も抑えられると考えられました。しかし、従来株に代わってデルタ変異株の感染が広がっており、新規感染者は一向に増え続けています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は、2021年7月21日に開かれた上院公聴会で「アメリカにおける新型コロナウイルスの新規感染者の83%はデルタ変異株に感染している」と証言しました。

Delta variant now makes up 83% of new COVID-19 cases in US | Live Science

アメリカでは7月21日時点で総人口の48.6%が予防接種を受けていますが、接種率の地域格差が大きく、アメリカの3分の2の地域ではワクチン接種率が40%を下回るとのこと。ワレンスキー所長によれば、ワクチンの接種率が低い地域では、感染性の高いデルタ変異体が確認され、急速に感染が拡大しているとのこと。デルタ変異株の感染拡大を受けて、CDCは「ワクチン接種を完了してもマスクを常に着用する」ように注意を促しています。

Interim Public Health Recommendations for Fully Vaccinated People | CDC

また、イスラエル保健省は「ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンが、従来は90%程度の有効性を示していたのに対して、デルタ変異株に対しては66%程度に低下している」と発表しました。これについてファイザーは、当初2回接種としていたワクチンを「3回打つことでデルタ変異株に対する有効性が大幅に向上する」と主張し、アメリカ規制当局に追加接種の承認申請を行う予定だと報じられています。

ファイザー、FDAにワクチンの3回目接種許可申請へ|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/07/fda3.php


プレプリントを発表した広東省疾病予防管理センターの研究チームは、中国本土で最初にデルタ変異株に感染した62人を追跡調査しました。感染期間中、研究チームは参加者の体内にあるウイルスの量を検査し、時間の経過と共にどのように変わるかを調査。その後、2020年に新型コロナウイルスのオリジナル株に感染した63人のパターンと比較しました。

すると、デルタ変異株に感染した人から初めてウイルスが検出されたのは、感染してから平均して4日後でした。オリジナル株に感染した人の場合は平均して6日後だったことから、デルタ変異株の方がウイルスの複製が早い可能性が示唆されました。また、デルタ変異株に感染した人のウイルス量はオリジナル型に感染した人の1260倍にも達していたとのこと。

香港大学の疫学者であるベンジャミン・カウリング氏は「デルタ変異株の感染力の強さは、潜伏期間の短さとウイルス量の多さで説明できます。感染してすぐに呼吸器内のウイルス量が増えるということは、スーパースプレッダーによってさらに多くの人が感染してしまう可能性があるということです」と述べています。

ただし、デルタ変異株の「重症化しやすさ」がオリジナル株と比べてどうなのか、免疫系を回避する能力がどの程度あるのかなど、デルタ変異株についてはまだ不明な点が多く存在しています。ベルン大学の遺伝学研究者であるエマ・ホットクロフト氏は「新型コロナウイルスにはびっくりすることばかりです。デルタ変異株やその他の変異型に感染した集団をより詳細に調査することで、謎に包まれた部分が少しでも明らかになると期待できます」と述べました。

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Source: ギガジン
新型コロナのデルタ変異株は「従来よりも潜伏期間が短くウイルス量も1000倍以上に増加する」と判明

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