911といえば、映画『United 93』は涙なしには観られない。
アメリカ同時多発テロ事件が起こってから20年が経とうとする中、Apple TV+が911をテーマにしたドキュメンタリーを9月に配信すると発表しました。タイトルは『9/11: The President’s War Room』。ワールドトレードセンターに最初の飛行機がつっこんでからの12時間にフォーカスした内容になっていて、さらにジョージ・ブッシュ元大統領やディック・チェイニー元副大統領、コンドリーザ・ライス氏、コリン・パウエル氏などの主要関係者の未公開証言と、未公開写真約200枚が含まれるのだそうです。
『9/11: The President’s War Room』は、Apple TV+とBBCがコラボレーションして製作した作品で、メガホンを握るのはイギリス人監督のAdam Wishart氏。彼はChannel 4のソマリアの指揮官を追ったドキュメンタリー『Warlords Next Door』で知られる人物だそう。
911はこれまでにも幾度となく映像化されてきましたが、あのテロ直後の12時間に焦点を当てたものはなかったのではないでしょうか。筆者は、あの日のことを鮮明に覚えていて、なんならそれからの12時間のこともはっきりと記憶しています。
筆者は当時ロスアンゼルスに住んでいました。あの日、学校に行くと教室の中は騒然としていて、カフェテリアなどの学生が集まる場所に大きなテレビが持ち込まれ、学生たちは肩を寄せ合いながら煙がもくもくと立ち登るワールドトレードセンターの様子をひたすら見守ったり、祈ったりしていました。あまりにも非現実的な光景に、筆者は何が起こっているのかわからないまま。麻痺した頭で状況を理解しようと努めていると、ビルが崩壊。周囲からは悲鳴が起こり、声をあげて泣き出す人もいました。いたるところで、「知り合いが働いている」「安否の確認がしたい」といった声が聞こえ、テレビの中の出来事が他人事でないことを感じさせました。
しかし、そのような中でも、授業が始まれば教室に向い、終われば愛犬の待つアパートに戻る。帰宅後は課題をこなし、次の日には再び学校に行きました。近隣の大学はテロのターゲットにされる可能性があるといって臨時休校になったと聞き、お金持ちの子どもや将来大物になって活躍することが保証されている人たちがいる学校は万が一を想定して守られるのに、自分たちの学校は距離で言うと目と鼻の先にもかかわらず普段と変わらず授業が行なわれるのだと、社会的地位と期待度の低さを思い知らされたものです。
それが筆者にとっての911でした。経済やテロ警戒からくる行動の制限など、生活への影響はそれなりに感じていたものの、今考えると完全に傍観者でした。『9/11: The President’s War Room』は、あのテロ事件を起点としてからの12時間が描かれているため、自分がどう過ごして、どう感じていたのか、その間にどんなことが起こっていたのかを照らし合わせながら、改めて事件を振り返ることができそうです。
それにしても、もう20年前のことなんですね…。自分にとっては昨日のことのようです。