年を重ねるにつれて顕著に感じることのひとつが、時間感覚の変化です。年齢を重ねるうちに、時間が早く過ぎていくように感じます。1年が一瞬のように感じたり、10年がお昼休みくらいに感じる人もいるでしょう。
年を重ねるにつれて顕著に感じることのひとつが、時間感覚の変化です。
年齢を重ねるうちに、時間が早く過ぎていくように感じます。
1年が一瞬のように感じたり、10年がお昼休みくらいに感じる人もいるでしょう。
年を取ると、そんなにも時間が早く感じるのはなぜでしょう?
若い時は、新しい体験が記憶に刻まれ、時間が長く感じられます。
しかし、何度も同じことを繰り返していると、脳は繰り返される行動をひとつの記憶に集約し、それによって時間が短縮されたように感じます。
心理学者で時間の研究者でもあるMarc Wittmann博士は、「ルーティンによって、それぞれの合間にある記憶が失われます。意義のあることが何も起こらなかった場合、脳は何も記録せず、主観的に時間が縮みます」と言っています。
例えば、脳は216回の電車通勤を1つの記憶にします。だから、毎日の通勤を逐一覚えておくのは大変なのです。
この現象は、パンデミック中はことさら顕著になりました。
在宅勤務の人は、毎日同じことを同じ場所でやり、決まりきった日常生活を彩っていた、旅行や外食、友だちや家族と会うという、いつもの楽しみもなくなりました。
果てしなく続くかのように思えた外出自粛の孤独な期間が終わり、家から出て、知らないうちに1年以上経っていることに気づきます。
Wittmannは、単調さが本当に脳に良くなかったと指摘します。
例えば、パンデミック以前は、日曜に友だちとバーベキューに行ったり、サッカーを見たり、ビールを飲んだりして、月曜にまた仕事に戻っていました。日曜から月曜の間に充電していたのです。
これがパンデミック中に無くなり、毎日が何曜日かもわからなくなり、思い返せば、すべてが雑然としたひとつの塊になっていました。それで時間が縮んだのですよ。
Wittmannが指摘するように、時間があまりにも早く過ぎると感情的になります。
「人間は、時間は直線的なもので、人生にはある一定の時間しかないと考えています。時間の向かう先は素敵な場所ではなく、いわゆる老いや死です」とWittmannは言います。
残念ながら、誰かが不老不死の泉を発見するまで、時間の行き先を変えることはできません。しかし、時間の進み方が遅く感じるようにすることはできるのです。
例えば、10カ月後に、毎日子どもを学校に連れて行ったことさえ覚えていないのに、いつの間にか1学年が終わったなんて信じられない、と思わないようになります。
今回は、その方法をいくつかご紹介しましょう。
これは分かりやすい方法です。日
課が時間(それに記憶)を潰してしまうのであれば、時間が早く過ぎないようにする一番の方法は、日課やルーティンを壊すことです。
仕事のように常にやらなければならないことに関しては、あまり変えられないと思いますが、単調な日常に変化を入れることはできますよ。
米国プロフェッショナル心理学協会の心理学者であるLoren Soeiro博士は、日常のどんな些細な変化でも、時間が長く感じられるようになると言います。
そんなに時間をかけなくても、目新しいことや違いを見つける方法はあります。旅行や豪華な外食などに出かける必要はありません。
仕事のある日に、昼間に近所を散歩したり、友だちに会うためにコーヒーを飲みに行ったりするなど、休憩するだけでいいのです。気分が少しリフレッシュできるようなことです。
他にもちょっとした変化はあります。
出勤ルートを変える、毎日新しいアルバムを聴く、昼休憩中に近所(もしくは職場近辺)の知らないエリアに行ってみる、仕事の後にこれまでやったことない活動の予定をできるだけ入れる、新しい言語や楽器を習得する、週に何日かはつくったことない料理をつくるなどです。
時間を長く感じさせるベストな方法のひとつが、知らない場所に旅行に行くことです。週末どこかに行くだけでも、慣れ親しんだ自宅のソファーの上で過ごすより、時間が長く感じられます。
Wittmannはこのように言っていますね。
週末ずっと家に籠もったまま、Netflixでドラマを見たりしていると、あっという間に時間は過ぎます。それに比べて、週末友だちとパリに行って、ワクワクするようなことをしたり、街を歩き回ったりして戻ってきたら、“すごく長く感じた”と言うでしょう。
その2日間で脳がたくさんのことを記憶したからです。自宅でごろごろしていたら、何も起こらず時間だけが過ぎていきます。
できれば、知っている場所に行くのではなく、知らない場所に旅行に行きましょう。
とはいえ、1年も家にいた後なので、どんな場所でも見知った場所ではなくなり、思い出を記憶しようと脳を刺激するでしょう。
パンデミック後の心配事としてSoeiroがよく耳にするのは、この1年は早く過ぎたのではなく、失われたのではないかということです。
とてもよく耳にします。“目標に対して自分はどの辺りにいるのか?
1年過ぎても何も変わっていないのではないか”いつでも人はそのように感じるものですが、パンデミックでさらに悪化しました。
パンデミックで遅れを取ったように感じている人に伝えたいのは、今からでもその目標に向けてスタートできるということです。
Soeiroは、「明日変化を起こしたら、さらに大きく変わります。さらに変化を起こしたら、去年何も起こらなかったことが問題ではなくなります。ここに来るのに時間がかかったからといって、歩みを止めないでください」と言います。
目標に向けてスタートするのが難しい人は、大きな目標を小さな目標に分解するといいとSoeiroはすすめます。小さな一歩に思えても、小さな目標を達成し、最終的な目標に近づくことで、怖気づかなくなりますよ。
Soeiroはこのように言っています。
ToDoリストをつくり、小さな目標をそこに入れ、ひとつずつ消していきましょう。やるべきことは、何かに向けた努力をすることです。
学校を卒業する、新しい仕事をするなど、大きな目標を達成するための努力のほんの一部だとしても、努力したことでToDoを終わらせると、目標への弾みがつきます。
還元的に思えるかもしれませんが、この方法は効果があります。
自分の慣れ親しんだ環境で、小さな変化に目を光らせることことで、日常の中に新しい記憶が生まれるのです。
植物を育てている人は、葉や茎の成長を記録しましょう。
ペットを飼っている人は、新しい芸を教えてみましょう。
子どもがいる人は、子どもの身長を測ったり、生え変わった歯の数を数えたり、子ども部屋に入れてもらったら(勝手に入らないでくださいね)壁に誰のポスターが貼ってあるかチェックしたりしてみてください。
居間に射し込む太陽の光が、一日の間にどのように変化するかを観察します。小さなことが変化を生んでいます。
一般的に、今この瞬間に意識を向けると時間は遅くなります。
それを実現するのにピッタリなのが瞑想です。Wittmannは、マインドフルネスや呼吸に集中するなどのテクニックは、時間の感じ方をコントロールするのに役立つと言いました。
人間は体を通して時間を感じていると私は考えます。人間は、通常は時間に対する感覚器官がないので、内受容的な体の状態の経過を通して時間を感じています。体に意識を向けると、時間の流れが遅くなります。
瞑想は、時間感覚を広げるだけでなく、ストレスや不安を解消することもできます。瞑想の恩恵を受けるのに、何時間もじっと黙って座っている必要はありません。
週に数分しか時間が取れない人でも、瞑想を始める手助けしてくれるアプリはたくさんありますよ。
脳は、繰り返される思い出すべてを記憶することはできないかもしれませんが、日記なら可能です。その日感じたこと、考えたこと、思い出などを書き留めたら、脳がすべてを一緒くたにしてしまう前に記憶を保存できます。
後で読み返せば、失われた時間を呼び戻すことができます。
「日記をつけると、物語として記憶を積み上げ、また物語的に自分を構築するのにも役立ちます。記憶の内容を特定の時間軸で実現すると相対的に時間が拡大される、と研究によって証明されています」と、Wittmannは言っていました。
(ただ、中学時代の日記は読み返さない方がいいかもしれません。思春期の若気の至りに時間を費やす価値はないでしょうから)
日記と同じく、写真を撮るのも物語的な記録ができ、脳が忘れた後でもその思い出を保存することができます。
しかし、写真撮影に気を取られすぎると、撮影しようとしている実際の出来事の記憶が弱まる可能性があると証明されており、本末転倒になるので、あまり写真を撮りすぎないようにしましょう。
これが大事なのですが、どんなに瞑想をしたり、日記をつけたり、日常に変化をもたらしたりしても、時間は流れていきます。
また、このパンデミック中に達成できなかった目標や、見逃してしまった瞬間があって、そのことに特に苦しんでいる人は、ちょっと一息入れてください。
Soeiroはこう言っています。
「とても恐ろしい1年でした。多くのものが失われ、思いもよらない恐ろしいこと、辛いことがたくさんありました。誰もが立ち止まり、誰もが遅れ、とても恐ろしかったです」。
1,430円
Source: webmarcwittmann,Loren Soeiro
Source: ライフハッカー
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