埼玉県議会は7月2日の本会議で、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた国会での議論を求める意見書を可決した。市民グループが意見書提出の請願をしており、最大会派である自民党議員団が意見書案を主導した。
採択を進めた自民党会派の県議らが同日会見を開き、「意見書の重みを受け止めて、国会で審議が進められるよう期待している」と話した。
選択的夫婦別姓制度をめぐっては、自民党内で賛否が対立し、国会での議論が進まない状態が続いている。
一方、地方議会では、制度導入や国会での議論の推進を求める意見書が可決される動きが増加している。
今回埼玉県議会で可決されたのは、「選択的夫婦別姓制度の導入に向けた国会審議の推進を求める」意見書。主導したのは自民党会派に所属する議員らだ。
そのうちの一人である前埼玉県議会議長の田村琢実議員は、「意見書を可決するにあたって自民党内で様々な議論があった。時間をいただいたことは申し訳なく思っている」とした上で、「意見書の重みを受け止めて、国会で審議が進められるよう期待している」と語った。
3月には、自民党の有志の国会議員50人が、選択的夫婦別姓制度に賛同する地方議員に対して慎重な検討を求める文書を送っていた問題が明るみになった。
文書は制度の実現を国に求める意見書を採択しないよう訴える内容で、「地方議会への不当な介入だ」と波紋が広がった。
この文書を公表し、問題視したのが田村議員だった。
田村議員自身が、かつては制度に反対していたが、制度を求める市民の意見を聞くことで賛同の立場に変わったという。
6月には、夫婦別姓を認めず、婚姻届を受理しないのは憲法に違反すると訴えた3件の家事審判の決定で、最高裁大法廷が「合憲」判断を下した。
田村議員は「裁判所がこの問題について逃げていると感じた」と落胆をあらわにし、制度構築に向けた議論を進めるように訴えた。
「あの決定を見て傷ついた当事者はたくさんいたと思う。もし違憲判決が出ていたとしたら、悲しむ当事者は一人もいないのではないか。何が言いたいかと言うと、この制度を導入することによって損する人は誰もいないということ。制度構築を一刻も早く考えてほしい」(田村琢実議員)
Source: ハフィントンポスト
埼玉県議会、夫婦別姓制度の導入に関する意見書を可決。主導したのは自民党会派の議員らだった