なぜ同性婚がダメなの? スウェーデン出身のLiLiCo、日本のLGBTQ差別を語る

タレントのLiLiCoさんが、世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、ホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは「LGBTQ」です。

LiLiCoさんが18歳まで過ごしたスウェーデンは、1995年に同性のパートナーシップ制度がつくられ、2009年に同性婚が法整備された国。もともと多様な人たちが暮らす国で、マイノリティを珍しがる風潮はないと話します。

いま、日本ではLGBTQをめぐる法案で揺れています。LiLiCoさんは、日本に暮らすセクシュアル・マイノリティについて、どのように感じているのでしょうか。

 

写真家レスリー・キーさんの結婚式で感じたこと

5月、TOKYO MXで『This is ME!!』という番組が始まりました。私は、「LGBTQの人たちを応援する」と銘打ったこの番組の初回と2回目の聞き手を務めています。

ゲストは、世界的な写真家で友人のレスリー・キーさん。パートナーである英語講師でモデルのジョシュア・オッグさんとの出会いやパートナーシップをはじめ、その人生のストーリーを追っています。

2020年11月22日に開かれたお二人の結婚式は、とてもあたたかく、たくさんのカップルを勇気づけた式でした。私は、司会を担当させてもらいました。

ただ、その台本は、私にとって少し違和感のあるものでした。気になったのは、「東京アメリカンクラブでゲイカップルが初めて結婚式を挙げました!」といったセリフが何度も出てきたこと。

もちろんそれは事実だけど、言葉にするのは1度でいいんじゃないかなと思ったんです。

だって、何よりすばらしいのは、二人が心の底から愛し合える人に出会えたことでしょう? そこに性別は関係ないはずです。

レスリーさんにも「何度も言うのって大事?」と聞きました。日本では、セクシュアル・マイノリティたちが自分たちの存在をアピールすることが意味を持つ、ということでしょう。

『This is ME!!』にしても「LGBTQの人たちを応援する」番組ができたことは、大きな一歩だと思うんです。ただ、番組が「LGBTQ」という言葉で説明されているうちは、差別、区別は残っています。カテゴライズして、特別なものとして扱うということですから。

 

日本の現実に涙が止まらなかった

私が日本でのセクシャルマイノリティのありかたを大きく感じたのは3年前です。かなり最近と思うかもしれないけど、私は当事者の気持ちをあまり知らなかったことに気づきました。

きっかけは3人の同棲愛者の女性にインタビューされたとき。衝撃的だったのは、セクシュアル・マイノリティであることを打ち明けたら家族に強い拒否反応を示されて、実家に帰れない人も珍しくないこと。ショックで自殺してしまう人が少なくないこと……。

取材後、外に出てから涙が止まらなくなりました。

子どもは、自分の親にハグしてもらいたいもの。受け止め、認めてもらいたいもの。それなのに、セクシュアル・マイノリティだから、同性を愛しているから、というだけの理由で、自分の子どもを家族だと認めない。そんな偏見は恥ずかしいですよ。

愛とは、この世の中で一番すばらしいものなのだから。

自分の“正しさ”にこだわってしまう人には、映画『ある少年の告白』(2018/アメリカ)を観てほしいです。

自分がゲイであることを告白した少年にどう両親が向き合ったかを描いた実話ベースのストーリーです。最後に明かされる「その後のストーリー」に、きっと心動かされるはず。

 

スウェーデンで認められている同性婚、日本は?

スウェーデンは、同性同士のパートナーシップ制度が1995年に施行され、同性婚は2009年に法制化されました。養子縁組制度も含めて、みんなが幸せになる権利が用意されています。

同性カップルは街中で手をつないで歩いているし、それを不思議がる人もいません。毎年のプライドフェスティバルもすごく盛り上がるんです。

お父さんはもう70代だけど、ゲイの友達を会わせたときも、なんのリアクションはしませんでした。私たちが、スウェーデンで文字通り多様性のある社会を見慣れているからです。

日本にもパートナーシップ制度が自治体に広がりつつありますが、国の制度はないですよね。

同性婚を認めると、どのような悪いことがあるのか。私にはわからないのです。

「同性婚ができるようになったら子どもが減る」という政治家もいるけれど、そもそも少子化は同性婚が理由じゃないですよね。懸念するなら、ほかに整えるべき制度があるのではないでしょうか。

世界的に見て、差別は永遠のテーマでしょう。ただ、それにしても日本人は差別、区別したがることが多いと感じます。髪色や肌色、瞳の色、骨格などの似た人が多いし、島国だからルールが変わりにくく、ちょっとでもはみ出すと目立つのでしょう。

私が知る限り、他人に向かって「顔が大きい」「足が短い」「太ったね」「前の髪型の方が良かった」なんて指摘するのは、日本人ぐらいです。

もう、時代は令和です。そろそろ本当に「見た目より中身」にシフトしましょうよ。

 

「自らをいつわらなくなったとき、自分が咲く」

日本のセクシュアル・マイノリティは、調査によると人口の8.9%ともいわれます。ドラマの視聴率ならちょっとしたヒットになる数字。それでも、まだまだ自分らしさが認められにくい国なんですね。

世界的に活躍している写真家のレスリーさんでさえ、ジョシュアさんと出会った48歳までカミングアウトはしてこなかったそうです。

でも、人は自らをいつわらなくなったとき、自分が咲くと思うんです。

だれにでも、この先マイノリティになる可能性はあります。もし今後、私も女性を好きになっても、自分で自分を否定しないようにしたいですね。

若い人たちの意識は変わってきています。問題は、私たち世代より上の“偉い人”たち。

トップが柔軟性をもって自ら動くと組織は成長します。それは、国であっても同じこと。古い慣習で誰かを差別したり、明治時代に作られたルールのままで人が幸福になる権利を制限したりするのは終わりにしませんか?

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり

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Source: ハフィントンポスト
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