プライド月間が始まった6月2日、国際オリンピック委員会(IOC)が、スポーツや社会の中でのインクルージョンと差別禁止を訴える声明を発表。
性的指向を理由にした差別など、ありとあらゆる種類の差別禁⽌の重要性を、改めて強調した。
声明の中で、IOCは「インクルージョン、ダイバーシティ、平等はIOCのあらゆる活動の核⼼的な要素であり、差別禁⽌はオリンピック・ムーブメントの主要な柱」と述べている。
東京五輪前の2016年のリオデジャネイロ五輪は、過去最多の50人以上の選手がカミングアウトするなど、かつてないほどLGBTQフレンドリーな大会になった。
このきっかけの一つになったのがオリンピック憲章の改定だ。
IOCはオリンピック憲章で差別禁止を定めてきたが、2014年に同憲章を改定し、性的指向への差別禁止も盛り込んだ。
IOCのバッハ会長は声明で「どんな種類の差別も受けることなくスポーツをすることは、⼈権の一つでありオリンピック・ムーブメントの根本原則である」と述べている。
このあらゆる形態の差別の禁⽌を尊重するアプローチは、「来るべき東京五輪でも明確になる」とIOCは述べている。
東京五輪のビジョンの一つは「多様性と調和」。違いを受け入れ尊重する社会を育む一環として、東京・新宿区に「プライドハウス東京」が設けられている、とIOCは説明する。
プライドハウスは性的少数者への理解を深め、LGBTQのアスリートや家族、ファンをサポートする場所だ。バッハ会長は2020年10月の同施設のオープン時に「スポーツにおいて、私たちはみな平等です。そこに差別はありません。私たちはすべての多様性において団結しています」というメッセージを寄せている。
また、声明によると、IOCは性的指向だけではなく性⾃認に基づくアスリートの公平や安全、差別禁⽌を保障する新しいフレームワークづくりにも取り組んでいる。
そのために「影響を受けるアスリートの⾒解や経験を重視しつつ、⼈権の観点をも考慮した協議プロセスを実施している」と説明している。
東京オリンピックパラリンピックを前に、LGBTQ当事者や人権団体は、日本でも性的指向や性自認を理由にした差別を禁止する法律を作るよう求めてきた。
しかし、自民党が作ったのは、差別を禁止する法案ではなく、LGBTQ当事者に寛容な社会を目指す「理解増進法案」。
さらにこの法案の審議の中で、自民党の議員らが「道徳的にLGBTは認められない」「LGBTは種の保存に背く」「女子の競技に男性の身体で心が女性だからっていって競技参加してメダル取るなど不条理なこともある」などLGBTQ当事者に対する差別的な発言をし、問題になった。
性的マイノリティのための法整備を求める全国連合会「LGBT法連合会」は、一連の発言を「オリンピック憲章違反である」と指摘。「開催国として国際的な問題にも発展しかねないと考える」と問題視した。
また、発言の謝罪と撤回を求める署名には10万人近くが賛同。署名呼びかけ人のひとりで一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんは「政党としてちゃんと性的マイノリティの問題に向き合い学んで差別をなくす法律を作って欲しいと思います」と述べている。
Source: ハフィントンポスト
IOCがLGBTQ差別禁止を訴える「来るべき東京五輪でも明確になる」