この1年の政治家によるジェンダー差別の問題発言のうち、ワースト1位を決めるネット投票の結果が3月8日に発表された。1位に選ばれたのは、自民党・杉田水脈衆院議員の「女性はいくらでもウソをつける」という発言だった。
投票を実施したのは、大学教授らでつくる「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」。
2位は、森喜朗氏による「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などの発言がランクイン。3位には、足立区議会議員の白石正輝氏による「日本人が全部L、Gになったら次の世代は一人も生まれない」などの発言が選ばれた。
杉田水脈氏による問題発言があったのは、2020年9月25日。
自民党本部であった非公開の会議に出席した際、性暴力被害者への支援事業をめぐって「女性はいくらでもウソをつける」と発言した。
発言が報じられると、当初、杉田氏は自身のブログで「女性を蔑視する趣旨の発言はしていない」と否定。その後、与野党から批判が相次ぐと、一転して発言があったことを認めた。
発言は女性に対する差別で、性暴力被害者へのセカンドレイプ(二次加害)だと非難が殺到した。
また、「典型的なレイプ神話(性暴力事件をめぐって広く信じられている偏見や誤解のこと)」だとも指摘された。 このレイプ神話によって、被害者は自らに落ち度があると自分を責めたり、助けを求めることが困難になったりしてしまう。
杉田氏は自身のブログで、「嘘をつくのは性別に限らないことなのに、ご指摘の発言で女性のみが嘘をつくかのような印象を与えご不快な思いをさせてしまった方にはお詫び申し上げます」と謝罪したが、「女性を蔑視する意図はまったくございません」と釈明した。
ネット投票は、大学教授らでつくる「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が実施。政治家による8つのジェンダー差別発言の中から、ワースト1位を選ぶという内容だった。
2月下旬から3月5日まで投票を受け付け、3044人が参加。1人につき最大2票が投じられ、投票総数は6031票だった。
ワースト1位に選ばれた杉田水脈氏の「女性はいくらでもウソをつける」発言は1995票獲得し、投票総数の33.1%を占めたという。
この発言に投票した回答者からは、「やっとの思いで性被害を申告した人に対してあまりにも心無い言葉だ」「性被害者を貶める意図があった」など、セカンドレイプを許容できないとするコメントが寄せられたという。「苦しんでいる当事者が一層声を上げにくくなる」との指摘もあった。
性暴力に抗議する「フラワーデモ」主催団体は、杉田氏の議員辞職を求めるオンライン署名活動を実施した。1週間足らずで10万筆以上の署名が集まり、抗議の声は大きく広がっていった。
フラワーデモは、10月11日までに集まった約13万6000筆の署名を提出するため、同月13日に自民党本部を訪問。しかし、自民党は署名の受け取りを拒否した。
本部前では抗議のスタンディングが行われ、署名の呼びかけ人で作家の北原みのりさんは、「被害者支援の制度拡充に向けて動いてきた行政の方々の努力を踏みにじる、非常にひどい発言だと思っています。がっかりさせないでほしい。声をせめて受け取ってほしいと強く改めて思いました」 と訴えた。
その後、署名は党本部宛に宅配便でも送ったが、「受取辞退の為」として返送されたという。
署名の呼びかけ人らは、自民党の野田聖子幹事長代行にも面会を呼び掛けたが、辞退されたという。
野田氏はハフポスト日本版の取材に対し、「『辞職』と書かれている以上、私にはそういう権限もないし、預かっても法律上できないことはちょっと無理です」などと受取拒否の理由を述べた。
呼びかけ人の1人、松尾亜紀子さんは「辞職が本人次第ということは分かっている。市民が辞職を求めるのは自由。13万という市民の声を預かっているので、この重みを見てほしかった」と強調している。
杉田氏はこれまでも、人権意識に欠けた、差別的な発言を繰り返してきた。
「新潮45」2018年8月号に寄稿した文章「『LGBT』支援の度が過ぎる」では、「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」などと持論を展開。批判が相次いだ。
また、元TBS記者から性行為を強要されたと訴えているジャーナリスト・伊藤詩織さんについてBBCの番組で「女として落ち度がある」と言及。伊藤さんは、杉田氏が自身を誹謗中傷する複数のツイートに「いいね」をしたとして、損害賠償を求めて東京地裁に提訴している。
Source: ハフィントンポスト
政治家のジェンダー差別発言、ワースト1位は杉田水脈氏。13万筆の抗議署名、自民党は受け取りを拒否した