パンを求めて、子ども2人と女性が圧死。ガザの食糧危機による“悲劇”は常態化していた

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イスラエルとの武力衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、パンを売る店の外で並んでいた子どもと女性の3人が死亡する痛ましい事故があった。

ガザ地区では、紛争の影響で長期間に及ぶ食糧危機が起きており、事故以前からパンの店舗などに群衆が殺到していた。食糧危機が生んだ悲劇はどのようにして起きてしまったのか。

【動画】パンを求めて殺到する人々

事故があったのは11月29日。

AP通信によると、ガザ地区中部デイル・アル・バラフの店にパンを求める人たちが押し寄せ、女性と13歳と17歳の子どもが圧死した。搬送先の病院の医師は、3人の死因について人混みに押し潰されて窒息したと説明しているという。

亡くなった17歳の子どもの父親はCNNの取材に、パンを買いに行かせたと説明。子どもが女性たちの列に並んでいたところ人混みに飲み込まれたという。「人混みから連れ出された時には息をしていない様子だった。何が起きたのか見当もつかない」と語っている。

AP通信は、イスラエル側の公式情報として、過去2カ月にガザ地区に搬入が許された食料の状況は、武力衝突が始まってから1年以上の間でほぼ最低水準だと伝えている。

食糧危機を背景に、店は日常的に、限られた食べ物を死に物狂いで確保しようとする人々で溢れかえっていた。

パンを求める群衆。常態化していた

地元メディアWAFAが事故前日の11月28日に投稿した動画には、デイル・アル・バラフの店に殺到する人たちが映っている。パンを求めて押し合いになり、必死の形相で、叫びながら手を伸ばす姿が捉えられている。

AP通信によると、圧死事故の前の週、ガザ地区にある複数の店舗が小麦粉の不足で数日休業。その後に再開したデイル・アル・バラフの店に人々が押し寄せる状況になったという。袋詰めのパンは、店のそばの闇市で高額で取り引きされていた。

CNNアルジャジーラが報じた10月24日の映像でも、デイル・アル・バラフの店に押し寄せる群衆や、入り口をよじ登ろうとする人の姿が確認できる。

店のオーナーはCNNの取材に「店は以前は時間通りに開いていたが、いまは半分程度しか稼働していない」と答えた。

店を訪れた男性は、アルジャジーラの取材に「朝6時からここにいて、一塊のパンのために列に並んでいる。14人家族だがまだ何も得られていない。ガザ地区での小麦粉の供給不足が原因だ。子どもたちは空腹に耐えている。私や何千もの人たちがこの状況に苦しんでいる」と訴えた。

圧死事故はこうした状況下で起きていた。

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Rio Hamada