身体への違和感、修学旅行のお風呂での経験。自分がトランスジェンダーだと気づいた時

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「同性が好きかもしれない」「自分はこの性別じゃない」ーー。

そう感じている10代の若者に、伝えたいことはありますか?

LGBTの子ども・若者の居場所を作る一般社団法人「にじーず」代表の遠藤まめたさんに話を聞きました。

(初出:BuzzFeed Japan News 2023年1月24日)

遠藤まめたさん

LGBT」:性自認が女性で同性を好きになるレズビアン(L)、性自認が男性で同性を好きになるゲイ(G)、性的指向が男女どちらにも向くバイセクシュアル(B)、出生時に割り当てられた性別と性自認が異なるトランスジェンダー(T)の頭文字をとった言葉

性自認」:自分の性別をどのように認識しているかということ

性的指向」:恋愛感情や性的関心がどんな人に向くか向かないかということ

「どの街にもLGBTの人たちは暮らしている」「幸せに生きているLGBTの大人はたくさんいる」

ー自分がトランスジェンダーだと気づいたり、同性が好きだと感じた子どもやユースに伝えたいことはありますか?

幸せに生きているLGBTの大人が日本にたくさんいることを知ってほしいです。

学校や普段生活しているエリアでは、LGBTの大人がどこにいるのか見つからないかもしれないけれど、どの街にもLGBTの人たちは暮らしています。

自分と似たような人を見る機会がないと、将来をイメージしにくいかもしれないけれど、図書館やインターネットでいろいろ調べて、生き方がたくさんあることに触れてほしいですね。

(イメージ写真)

LGBTかもしれないと気づいたとき、「自分が何者かわかって嬉しかった」人もいれば、中には落ち込んでしまった人もいるんじゃないかと思います。

「この先どうなるんだろう」と不安になったり、隠さなきゃいけないと感じたり、自分のことを好きになれないと思った人も中にはいるかもしれません。

もしも今、つらい思いをしたとしても、あなたは一人ではないですし、同じような経験をしている人はたくさんいます。LINE相談など、匿名で相談できる便利なサービスもあるので、よかったら使ってみてほしいです。

私たちがやっている「にじーず」は10代から23歳までのLGBTやそうかもしれない人が安心して遊んだり話したりできる場所なので、もし近くで開催していたら、同年代の他の人たちと交流してみるのもいいかもしれません。

ー自分の性のあり方がわからなくて悩んでいる人もいますね。

はっきり自分のジェンダーやセクシュアリティについて「ゲイなんだ」「トランスジェンダーだ」と分かっている人もいればそうじゃない人もいて、まだ決めたくない、という人もいると思います。

今は性別やセクシュアリティを表す言葉があって、そんな言葉や情報を教えてくれるウェブサイトもたくさんあります。

中には、いくつかの問いに答えると「あなたのセクシュアリティはこれ」と診断してくれるサイトもあったりします。

そのようなサイトが役立つという人もいれば、見たことでかえって分からなくなってしまうという人もいるようです。

「にじーず」でも、診断サイトで出てきた答えが納得しない、みたいな話はときどき聞きます。性のあり方を表す名前はたくさんありますが、名前はついてもつかなくてもいいし、名前はつけなくてはいけないものでもないです。

また、診断サイトや周りの人が決められることでもないです。

自分で悩んで、探していくことになるのかなと思います。

ーまめたさんが自分のジェンダーについて気づいた時はどうでしたか?

自分の場合は高校2年生の時、最初にトランスジェンダーの人が書いた掲示板の書き込みを読んで、「これは自分が書いているんじゃないか」と思うほど、自分の経験と同じような話が書かれていたんです。

制服のことや、身体に対する違和感、小学生の頃からの経験や、修学旅行のお風呂で困っていることなど……。

すごく共感したし、自分だけじゃないんだということが分かりました。すごく世界が開けた感じがしました。

こんな人が日本中にいるんだと、びっくりしました。

当時はネットは普及していたんですが、パソコンは家族に一台だけで、お兄ちゃんの部屋にしかありませんでした。

その時はもう、ネットにある情報を全部読むぞ!くらいの勢いで、夢中で読んでいました。

言葉が見つかって助かった一方で、学校での困りごとを一緒に考えてくれる人はいなかったので、にじーずみたいに同世代の子たちと実際に友達になれる場所があったらよかったなと思います。

ー学校の中で困っている子どもたちにメッセージはありますか?

学校って、性別で色々なことが分けられていることがすごく多いと思います。

服装や髪型の校則が男女でちがっていたり、名簿や座席が男女で別れていたり……。

ちょっとした係やチーム分けも、必要ないのに男女で別れている場面が多くて、そんな環境で毎日過ごしている当事者の子どもたちはどんな思いでいるんだろうって、いつも気にしています。

困っていることがあって、もし周りに伝えられるのであれば、生徒にはそれを伝える権利があるということは知っていてほしいと思います。

(イメージ写真)

制服のルールはこの数年でも、いろんな学校でだいぶ変わってきました。

投書箱に匿名で手紙を入れたり、図書館にLGBTの本を増やしてもらうようリクエストしたり、中高生でも自分なりの方法で、思いを伝えようとしている人はいます。

学校の決まりやルールだけに従っていると、制服を選べなかったり、校外学習で一人でお風呂に入れなかったりと、自分が自分じゃない風に扱われ続けると思います。

中にはカミングアウトしないと変えられないこともあるかもしれないですが「お風呂に一人で入りたい」とかはLGBT以外の人の中にも、同じように思っている子はいるんじゃないかな。

私が高校生のとき、宿泊行事で「お風呂に一人で入りたい」と行ったら、先生は特に理由を聞かずに、あっさり個室のシャワーを案内してくれました。カミングアウトしなくてもできることはある、と言うのは知っておいてほしいですね。

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身体への違和感、修学旅行のお風呂での経験。自分がトランスジェンダーだと気づいた時

Sumireko Tomita