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1: 通りすがりのコメンテータ

 HYBE(パン・シヒョク議長)と子会社のADOR(アドア)のミン・ヒジン代表の衝突が勃発してしまった未曽有の事態が、K-POP産業全体の問題に飛び火する様子だ。今回の事態のもとになったマルチレーベル体制について疑問の声が上がる一方、アルバム販売量を増やすためのあらゆる便法が改めて明らかになっている。

(略)

 専門家たちは今回の事態をマルチレーベル体制そのものよりは、その運営を誤ったことによる問題とみている。評論家のキム・ドホン氏は「今回の事態はマルチレーベルが原因というよりは、それを調整していく過程が十分ではなかったため起きたものだ。Pledisの(男性アイドルグループ)SEVENTEENは、HYBEに入ってから飛躍した」と語った。親会社とレーベルの関係設定が曖昧だったという指摘もある。エンターテインメント業界に詳しいある弁護士は「HYBEがADORの株を100%保有していたか、取締役会を掌握していれば、ここまでの事態にはならなかっただろう。創作とビジネスの領域を明確に分けられなかったために起きた問題」だと指摘した。

 マルチレーベルはユニバーサル、ワーナー、ソニーミュージックなどグローバルレコード会社から来た概念だ。これらのレコード会社の傘下には多様なジャンルと特色を持つレーベルが存在し、相乗効果を生む。しかし、K-POPのマルチレーベルは、各レーベルの特色がかなり重なる。評論家のイム・ヒユン氏は「K-POP市場は似たようなジャンルで似たような消費層を対象にしている。マルチレーベルといっても多様性はなく、同じ土俵で競争しているようなものだ」と指摘した。一つの会社の中で盗作疑惑が持ち上がったりするのもこのためだ。イム氏は「K-POPの中でも各レーベルの売りと特色を生かせるよう親会社が方向を示し、調整していく形が理想的」だと助言した。

 ADORのミン代表が25日の記者会見で暴露したランダムフォトカードやアルバム売上操作など、K-POPの慢性的な弊害も改めて注目されている。ランダムフォトカードとは、アルバムごとにアイドルグループのそれぞれ異なるメンバーのフォトカードを入れ、ファンがより多くのアルバムを買うように仕向ける手法だ。そのため、アルバムを大量に購入し、フォトカードだけを抜き取り、残りは捨てることもある。アルバム売上操作は流通・販売会社が新作アルバムの初動(最初の一週間の販売量)を大量注文し、プロダクションがファンサイン会などで販売を支援する形で初動売り上げを高めることをいう。

 キム氏は「K-POP産業の成長には情熱的なスーパーファンダムの力が絶対的だったが、これにはランダムフォトカード、売上操作の影響もあった。だが、今はファンの負担を加重し環境を破壊するなど、悪影響がさらに浮き彫りになっている」としたうえで、「これを直ちになくすことは容易ではないかもしれないが、徐々に体質改善を図っていかなければならない」と指摘した。

 今回の事態を振り返ることで、K‐POPの発展的方向を模索しようとする動きも現れている。文化連帯は2日、ソウル中区貞洞(朝鮮人ドン)のフランチスコ教育会館で、「HYBEとADORの経営権事態をどうみるか」という題名の緊急討論会を開く。文化連帯は「両者の軋轢でK-POPの制作システムと文化産業環境に大きな混乱が生じており、所属ミュージシャンの活動を萎縮させ、ファンに被害が及ぶだろう」とし、問題解決のための意思疎通と代案作りについて議論する予定だと発表した。

ソ・ジョンミン、ナム・ジウン記者

https://japan.hani.co.kr/arti/culture/49887.html

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