ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手は、9月16日、10日間の負傷者リスト入りし、今季残り試合を欠場すると発表しました。今季の成績は、打者としては、本塁打44本、打率.304、95打点、投手としては10勝5敗、防御率3.14。打撃成績はどれもリーグトップクラスで、特に本塁打は、2位のシカゴ・ホワイトソックス、ルイス・ロベルトに6本差。ホワイトソックスの残り試合数は6試合ですので、大谷選手の本塁打王の確立は非常に高くなっています。MLB公式のデータサイトによると、大谷選手は「.402」という驚異的な記録を残しているとのこと。この値は何を示しているのでしょうか。
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MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」によると、大谷選手のフォーシームに対する打率は.402。出塁率は.480、長打率は.818になり、これらの数字はいずれもMLBトップ(500球以上対象)。今シーズンのこれまでの成績は、打率.304。出塁率は.412、長打率は.654ですから、大谷選手はフォーシームを得意としているといえます。
フォーシームとは、日本では、直球とか、ストレートとか、真っ直ぐと呼ばれる球種で、直進する速球です。アメリカでは、速球を、直進するフォーシームと、打者の手元で変化するツーシームやカットボールに分類。日本ではこれらの球種は直球でひとくくりにされていましたが、2000年代になって明確に区別されるようになりました。
フォーシームは、ボールが1周スピンする間に縫い目(seam)の線が4回 (four) 通過し、揚力をより効果的に得られる球種。各球種の中で最も球速があり、球の重力による落下が他の球種に比べ少なく、打者がボールの下を空振ることを期待できるので、打たれずらい球種と考えられています。歴代最多7度のサイ・ヤング賞を受賞したロジャー・クレメンス選手や、サイ・ヤング賞5度受賞し歴代2位の通算4875奪三振を記録したランディ・ジョンソン選手らが得意としたのがフォーシーム。日本では、藤川球児選手の火の玉ストレートと呼ばれた浮き上がるようなストレートがフォーシームの代表です。
MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」には、データ解析ツール「スタットキャスト」の結果が掲載されています。スタットキャストは、2015年にMLBでは全面導入されているデータ解析ツールで、ステレオカメラやレーダーを使用して選手やボールの動きを高速・高精度に分析。
スタットキャストでの解析により、バレル率という選手を評価する新たな指標が誕生しました。バレルとは長打が出やすいとされる打球の速度と角度を組み合わせた打球のことで、過去のデータ分析によると、初速98マイル(約158キロ)以上、角度26~30度の打球は高い確率で長打または本塁打になるそう。
打ち出される打球の速度はボールの反発力に左右されますが、ピッチャーの速い球や回転数の多い球は反発力が大きくなります。さらに、打者が、大きな力で的確にボールを捉えれば更に反発力は増大。また打球の角度を出すには、ボールの下をたたく必要がありますが、フォーシームは重力による落下が他の球種に比べ少ないため、ボールの下を捉えやすい球種。
大谷選手は、フォーシームにめっぽう強く、年々パワーアップしていることからすると、ホームランを量産できるのは当然の結果のようです。
大谷選手はパワーアップをするために、プロ入り直後から肉体改造に取り組んできました。
大谷選手は2013年に北海道日本ハムファイターズに入団した当初は身長193cm、体重は今より10kg以上軽い86kgでした。背は高いけど線が細い選手でしたが、新人の頃から体に対する意識はずば抜けて高く、どこに行くにもサプリメントを常備し、3年後、5年後、10年後を考えてウエイトトレーニングも熱心に行なっていたそう。加圧トレーニングを早くから取り入れ、柔軟体操も念入りにやっていました。
2015年オフには当時レンジャーズにいたダルビッシュ有選手と初めて合同トレーニングを行い、トレーニングに関する助言を惜しみなく受け、オフの間に1日6~7食を摂り、体重が2か月で8kgほど増えたそう。2018年に海を渡り、メジャーで二刀流の挑戦が始まるも、メジャーのハードスケジュールがたたってか同年10月には右肘内側側副靱帯のトミー・ジョン手術を受けることに。
さらなる肉体改造に挑んでいた2020年オフ、ワシントン州シアトルにあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」を訪れ、最新機器を用いた科学的根拠に基づいたトレーニングし、球速を向上させます。翌2021年シーズンにはアメリカン・リーグMVPを獲得。
大谷選手がトレーニングで上げる重量、体の強さは年々高まっており、現在でも軽いものも含めればほぼ毎日筋トレを行っているそう。225キログラムのデッドリフトを難なくこなし、フィットネスバーやゴムチューブでインナーマッスルを鍛え、140キログラムのバーベルスクワットで大腿四頭筋や大殿筋を、100キログラムのベンチプレスで大胸筋を鍛錬。このほかにも、ダンベルや器具を使って体全身のパワーアップを図っており、身長193cm、体重102キログラムとMLBの中でも大きなカラダとなっています。
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