Appleのティム・クックCEOが、今後の同社製品に米国で製造したチップを一部採用することを明らかにしたと、海外経済紙「BloomBerg」が報告しています。
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「BloomBerg」によると、クックCEOはAppleの社内会議で、アリゾナ州にあるまだ未完成のTSMC工場から、少なくとも一部のチップ供給を受けることを示唆しました。そして、チップの発注は欧州の工場にも拡大する可能性があるとのこと。
テック系メディア「9to5Mac」によると、クックCEOはこの会議で「我々はすでにアリゾナの工場から買い取ることを決定しており、このアリゾナの工場は24年に稼働する」と述べたそうです。
アリゾナ州にあるTSMCのチップ製造工場は2021年6月に着工。同社は当初、2022年9月に生産を開始すると予測していたものの、そのスケジュールは約半年前倒しされました。TSMCの工場は2023年3月にオンライン化される予定です。TSMCは2024年初頭に生産開始を迎えると予想しています。
米国政府は最近、国内でのチップ生産を促進するために、有利なインセンティブを数多く提供するSHIPS法を可決しました。これにより、米国内で行われる半導体生産に対しては、500億ドル(約7兆円)以上のインセンティブが用意されています。
しかし「9to5Mac」はこれについて、いくつかの課題も挙げています。まず1つ目の問題は、アリゾナ州の労働力不足です。インテル社はすでに12,000人を雇用しており、拡張する施設にはさらに3,000人を求めています。TSMCは新工場の人材を求める際、すでに低失業率の地域で競争しなければなりません。
2つ目に、アリゾナ工場で生産したチップは、現状のサプライチェーンの構造では一度中国やインドに出荷する必要があります。AppleがTSMCから何を購入するのかはまだ明らかではありませんが、米国で製造しても海外に輸送しなければいけないのは二度手間です。
TSMC自体も米国で成功できるかどうかには懐疑的な姿勢です。「9to5Mac」によれば、TSMCのモリス・チャン氏は以前、台湾を訪れたナンシー・ペロシ米下院議長に対し「チップ製造の再建を目指す米国の努力は失敗する運命にある」と語ったといわれています。
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