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宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』は日本のアニメーション史に残る不朽の名作ですが、劇中では使われなかったシンボル・テーマソングが存在することをご存知でしょうか。
その曲は、1984年の劇場公開時につくられたこちらの特報で確認できます。この貴重な特報は、2020年夏に行われたリバイバル上映企画にあわせて東宝が公開しました。
劇中のシーンにあわせて、「風の谷のナウシカ 白い霧が晴れたら…」とつづく歌が流れていることがわかります。
作曲は細野晴臣さん、作詞は松本隆さんが手がけました。細野さんと松本さんは1970年代のフォークロックバンド・はっぴいえんどのメンバーとして活躍し、今も日本の音楽シーンに大きな影響を与えるミュージシャンです。
安田成美さんが歌う「風の谷のナウシカ」シンボル・テーマソングは、予告CMなど、映画のプロモーションをメインに使われました。安田さんは音楽番組などでもこの曲を披露したといいます。
しかし、本編でこの楽曲が使われることはありませんでした。
作曲を手がけた細野さんは、のちに坂本龍一さんとの対談で、以下のように振り返っています。
坂本龍一 いきますか。僕は安田成美さんが歌っているオリジナルが好きだからカバーしたんですけど……。
細野 僕も好きだった。
坂本 宮崎駿監督は気に入らなかったという、いわくつきの。
細野 監督には一回会ったんですよ、作る前に。話したの、ナウシカについて。絵コンテもあったので。曲をつくるにあたって、いろいろ聞いて、これは東ヨーロッパの感じですかね? とかね。なんかピントがはずれていたのかもしれない(笑)。趣味が合わなかったんだろうね。映画のなかでは安田成美バージョンは使われなかったんだな。
「坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣(3)」2015年3月9日OPENERS掲載
本編の音楽には、映画公開に先駆けて販売されたイメージアルバム「鳥の人」を手がけた久石譲さんが起用されました。これが久石譲さん・宮崎駿さんという“黄金コンビ”の初タッグとなり、久石さんはその後、素晴らしいジブリ音楽を生み出しつづけました。
「彼女にはイメージソングも歌ってもらい、徳間ジャパンからレコードを発売しました。レコードのプロモーションで彼女がいろんなメディアに出ると、それが映画の宣伝にもつながるーーメディアミックスの走りのようなことを、このときすでに始めていたんです」
鈴木敏夫さん著書「ジブリの仲間たち」(新潮社)より
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
『風の谷のナウシカ』の「幻のテーマソング」がこれだ。大物たちの秘話を追った