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宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』が7月7日午後9時から金曜ロードショー(日本テレビ系)で放送されます。日本のアニメーション史に残る不朽の名作ですが、劇中では使われなかったシンボル・テーマソングが存在することをご存知でしょうか。
安田成美さんら豪華メンバーで作られた曲
それは、現在も俳優として活躍する安田成美さんが歌った曲です。
安田さんは『風の谷のナウシカ』の「イメージガール」コンテストで選ばれ、この主題歌で歌手デビューしました。
作曲は細野晴臣さん、作詞は松本隆さんが手がけました。細野さんと松本さんは1970年代のフォークロックバンド・はっぴいえんどのメンバーとして活躍し、今も日本の音楽シーンに大きな影響を与えるミュージシャンです。
楽曲はCDシングルとして徳間ジャパンから販売されており、スタジオジブリ作品の主題歌・挿入歌を網羅したベストアルバム『スタジオジブリの歌(増補盤)』にも収録されています。
ちなみに、スタジオジブリはサウンドトラックなど38作品を音楽配信サイトに解禁しており、安田さんが歌う主題歌を含めたジブリ楽曲をSpotifyなどで聴くことができます。
本編では使われなかった
安田さんが歌う「風の谷のナウシカ」シンボル・テーマソングは、予告CMなど映画のプロモーションをメインに使われました。安田さんは音楽番組などでもこの曲を披露したといいます。
しかし、本編でこの楽曲が使われることはありませんでした。
作曲を手がけた細野さんは、のちに坂本龍一さんとの対談で、以下のように振り返っています。
坂本龍一 いきますか。僕は安田成美さんが歌っているオリジナルが好きだからカバーしたんですけど……。
細野 僕も好きだった。
坂本 宮崎駿監督は気に入らなかったという、いわくつきの。
細野 監督には一回会ったんですよ、作る前に。話したの、ナウシカについて。絵コンテもあったので。曲をつくるにあたって、いろいろ聞いて、これは東ヨーロッパの感じですかね? とかね。なんかピントがはずれていたのかもしれない(笑)。趣味が合わなかったんだろうね。映画のなかでは安田成美バージョンは使われなかったんだな。
「坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣(3)」2015年3月9日OPENERS掲載
本編の音楽には、映画公開に先駆けて販売されたイメージアルバム「鳥の人」を手がけた久石譲さんが起用されました。これが久石譲さん・宮崎駿さんという“黄金コンビ”の初タッグとなり、久石さんはその後素晴らしいジブリ音楽を生み出しつづけました。
テーマソング企画には、宮崎駿さんの弟が関わっていた
鈴木敏夫さんの著書「ジブリの仲間たち」(新潮社、2016)によると、このシンボル・テーマソングを使ったプロモーション企画は、『ナウシカ』を徳間書店と共同製作した博報堂が提案したといいます。
当時、宮崎駿さんの弟が博報堂に勤めており、鈴木さんは「いろいろなプロモーション企画に一役買ってくれました」と振り返っています。
「彼女にはイメージソングも歌ってもらい、徳間ジャパンからレコードを発売しました。レコードのプロモーションで彼女がいろんなメディアに出ると、それが映画の宣伝にもつながるーーメディアミックスの走りのようなことを、このときすでに始めていたんです」
鈴木敏夫さん著書「ジブリの仲間たち」(新潮社)より
安田さんの澄んだ歌声や、耳に残るメロディーラインが印象的な「風の谷のナウシカ」シンボル・テーマソング。
ぜひ、聴いてみてくださいね。
※この記事は2020年12月15日に掲載した記事を再編集したものです。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
『風の谷のナウシカ』には、劇中で使われない「幻のテーマソング」があった