誰のための「理想の女性像」か。女性アナが置かれた状況には、日本社会の現状が濃縮されている
「女性はやさしい」というジェンダーに関する思い込みが、日本では4歳ごろの幼児期から見られることが、京都大学の森口佑介准教授(発達心理学)らグループの研究で明らかになった。「男性は賢い」という思い込みは、7歳ごろの児童期から見られる可能性も示された。
こうした研究成果は、10月11日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツにオンライン掲載された。
発表された研究内容によると、検証には日本の4歳から7歳の子どもとその保護者が参加。「女性は優しい」「男性は賢い」というジェンダーステレオタイプがいつごろから見られるようになるかを調べた。
子どもに「賢い人」の話や「優しい人」の話を聞かせた後、その人物が女性だと思うか、男性だと思うかを質問。トイレマークのような棒人間などを示して、選んでもらった。
それぞれ、次のような結果となったという。
【優しい人】
・女児は男児よりも、自分と同じ性別を選ぶ割合が高かった
・年齢(4歳〜7歳)に関わらず、同じ傾向があった
森口准教授は概要説明動画で「女児は『女性は優しい』というステレオタイプを持っており、それが4歳ごろからみられる」と解説した。
【賢い人】
・女児は4、5歳時点では、比較的自分と同じ性別(女性)を選ぶ割合が高いが、7歳ごろになるとその傾向が見られなくなる
・男児は、4歳では自分と同じ性別(男性)を選ぶ割合は低いが、7歳ごろになると選ぶ割合が高くなる
森口准教授は次のように解説する。
「大人は『男性=賢い』というステレオタイプを持っているわけですが、そういった傾向が見られるのが7歳ぐらいということが明らかになった」
「児童期ごろ(7歳ごろ)から『男性=賢い』というステレオタイプが男児において見られる。女児は『女性=賢い』というステレオタイプが4、5歳ではあるのですが、小学校に入るぐらいから無くなっていく」
こうしたステレオタイプがなぜ見られるのかという要因は、分かっていないという。今回の研究では、親の性別に対する意識も調べたが、影響は見られなかったと、森口准教授は説明する。
「親が何気なく発言する男性とは女性とはだったり、教師の関わりや子ども同士の関わりなど、さまざまな要因がこうしたステレオタイプに影響を与える可能性がある」と付け加えている。
ジェンダーに関する思い込みは、海外ではどうなのか。今回の研究発表の中で、アメリカの事例や論文を紹介している。
アメリカの子どもを対象にした研究では、6歳ごろから「男性=賢い」というステレオタイプが見られることが報告され、 「女性=優しい」というステレオタイプについても同じような発達パターンが見られたという。
森口准教授らの調査結果で「6歳頃から『男性=賢い』 というステレオタイプを持つようになるアメリカよりも、(7歳ごろから見られる可能性がある日本は)幾分遅いことになります」と触れている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
子どもの思い込み「女性は優しい」は"4歳から" 「男性は賢い」は"7歳ごろ"。親の影響は?(京大研究)