鶏肉の加熱不足、見た目では分かりません。食中毒やギラン・バレー症候群の危険も

暑い季節がやってくると、冷たい食べ物が美味しく感じるもの。鶏の刺身やタタキを好む人もいるでしょう。

しかし、鶏肉にはカンピロバクターという菌がいるため、加熱不足のまま食べると食中毒になることもあります。内閣府の食品安全委員会が7月5日、Twitterで注意を呼びかけました。

カンピロバクターによる食中毒とは?イベントで500人超えの患者発生も

委員会が同日に更新したブログによると、カンピロバクターによる食中毒は、近年日本で発生している細菌性の食中毒の中で最も発生件数が多いそう。加えて、「カンピロバクターによる食中毒の原因食品の9割が鶏肉由来と推計される報告もあります」と注意を促しています。

厚労省によると、イベントで「新鮮だからこそできる鶏ささみ寿司」などとアピールした加熱不十分な鶏肉を提供し、500人以上の患者が発生したこともあるとのこと。

症状は、下痢、腹痛、発熱、嘔吐、倦怠感など。死亡例や重篤例はまれですが、乳幼児・高齢者など、抵抗力の弱い場合は重症化する危険性もあるそうです。

また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」(急激に手足の筋力が低下し、症状が進行する末梢性の多発性神経炎)を発症し、後遺症が残ることもあるので注意が必要です。

委員会は「『新鮮だから生でも大丈夫だろう』『鶏の専門店だから大丈夫』と考えるのは危険です」としています。

加熱不足、見た目じゃ分からない。委員会が写真で注意喚起

食品安全委員会によると、カンピロバクターは中心温度「75℃以上で1分間以上の加熱」と同等の条件で死滅するそう。ただ、色が変わっただけでは十分に加熱できているかどうかは判断できないといい、比較写真を公開しています。

加熱が不十分な鶏肉(上段)と、十分な鶏肉(下段)。外見では全く分からない

低温調理を想定し、63度、70度、75度で加熱した鶏肉は、加熱不十分の状態と衛生基準を満たした状態、いずれの温度でも外見は変わらないように見えます。

では、断面図ではどうでしょうか。

加熱不十分な状態の鶏肉と、十分加熱された鶏肉。断面図でも、差は感じられない。

 こちらもいずれの温度でもほとんど違いが分かりません。そのためTwitterでは「見た目では分かりません!」と注意喚起しています。

 唐揚げなどで油で揚げる場合は、170℃の油なら厚さ15mmでは5分以上、厚さ10mmなら2.5分以上の加熱が必要だそうです。

さらに、二次汚染が起こらないよう、鶏肉が他の食品と触れないよう料理器具や容器を分けることや、鶏肉に触れたらしっかりと手を洗うことなどを呼びかけています。

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