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テレ朝・松尾由美子アナがロシアに関するニュースで見せた涙。「なぜ謝罪?」の声にアナウンサー経験者が考えたこと

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テレビ朝日の松尾由美子アナウンサーテレビ朝日の松尾由美子アナウンサー

テレビ朝日の松尾由美子アナウンサーが4月19日、報道番組『スーパーJチャンネル』の放送で、あるニュースを読んだ後に涙を流したことについて、SNSでは理解する声や励ましの声が数多く寄せられた。

松尾アナはニュースを読んだ直後、「悔しい思いで読んでしまいました」と声を震わせていた。アナウンサーが泣きながら訴えた例は過去にもあり、決して少なくない。

今回の例を振り返りながら、これまでも度々浮かび上がってきた「アナウンサーは泣いてはダメなのか」という論点について改めて考えたい。

「悔しい思いで読んでしまいました」

松尾アナが涙したのは、「プーチン大統領がロシア軍の部隊を英雄的行動と讃え名誉称号を授与」というニュース速報を読んだときだった。

「プーチン大統領は部隊について偉大な英雄的行動と勇気を祝福し特別軍事作戦の手本となるような存在だとして称えています」と読んだ直後、「VTRでもお伝えしましたが、製鉄所にいまだに多くの市民が残っています」と伝える際に声を震わせていた。

「ごめんなさい。失礼しました」と鼻をすすりながらも続けて進行を続けようとしたものの、「ごめんなさい、ちょっとさっきの授与のニュースが悔しい思いで読んでしまいました」とコメント。感情的にニュースを伝えたことを謝罪した。

松尾アナの涙に対し、SNSでは「人間らしくてとても良かったです」「伝えるということ、想いが溢れてもいいと思います」「伝えわってきました」「なぜ謝罪?謝る必要はないですよ」と様々な反応が寄せられた。

松尾アナは放送後に公式インスタグラムを更新し、「日々のニュースを受け止める中で感情に揺さぶられて真実を見失わないようにしたいと思ってはいるのですが、、ごめんなさい。製鉄所の子どもたちが心配です」と改めて言及した。

アナウンサーが泣きながら訴えた例は、過去にもある。

2021年8月19日、フジテレビ系の報道番組『Live News イット!』でニュースを伝えた同局の榎並大二郎アナウンサーが新型コロナウイルスに感染した妊婦が入院できず赤ちゃんが死亡したニュースを読んだ後に涙した

榎並アナは翌日の放送で「言葉が詰まってしまってきちんとお伝えできずに申し訳ありませんでした」と謝罪した上で、「妊婦の皆さんの不安を、行政がきちんと受け止めて動くことが必要だと思うんです」と訴えていた。

今回の松尾アナの件と同様、当時の榎並アナの涙には多くの励ましの声が寄せられた。

「謝罪しなくていい」の声にアナウンサー経験者として思うこと

松尾アナと榎並アナの2人に共通するのは、自身が感情的になりニュースを伝えたことを視聴者に謝罪した点だ。

SNSでは「謝罪する必要はない」「ただ単にニュースを読むだけならAIでいい。人間なのだから、時に感情が出てしまうのは当たり前」などと理解を示し、擁護する声や意見もある。

度々浮かび上がる「アナウンサーは泣いてはダメなのか」という論点。アナウンサーの仕事を経験した筆者は、過去にも意見を書いたことがある。

場合によっては、自然な感情を素直に出す方が時に視聴者に伝わることがあるのではないか、というのが筆者の立場だ。

おそらく、2人のアナウンサーは感情的になったこと自体を謝罪しているのではなく、涙したことで「音声的」に視聴者に伝わりにくくなり、結果として適切に伝えられなかった点について謝ったと見ることができる。この場合の謝罪はある意味、音にこだわって伝えている所以だ。

筆者もかつて「アナウンサーはなるべく感情を出さずにニュースを伝えるように」と指導を受けたことがある。喜怒哀楽の感情を、あえて抜いて読むという訓練もあった。

これは、アナウンサーが感情を出すこと自体を否定されたわけでは決してない。「音声」で伝えるプロとして、どんな内容のニュースであっても適切に視聴者に届けることを意識したものだろう。

その上で、読み手の感情から伝わる情報が、そのニュースに対する視聴者の印象に影響を与える可能性がある点には留意が必要だ。

読み手の感情が出ることで、視聴者の気持ちを結果的に代弁したり、寄り添うことになったり、そのニュースがより伝わったりすることはある。

一方で、場合によっては、そのニュースの印象を誘導することに繋がってしまうこともある。

だが、それを踏まえても、やはり伝え手が喜怒哀楽を示した方が見る者に伝わる時はある。視聴者がアナウンサーの感情に寄り添う風潮は歓迎されるべきだ。

「声は人なり」という言葉がある。今回の松尾アナの涙に筆者はそれを見た。

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テレ朝・松尾由美子アナがロシアに関するニュースで見せた涙。「なぜ謝罪?」の声にアナウンサー経験者が考えたこと

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