これまで植物で確認されてきた「ストレスにさらされた際に生体反応を示す」という性質について、新たにトマトで「果実が虫に食べられそうになると電気的刺激を送る」という現象が確認されました。研究チームは「果実も重要な情報を植物の他の部分と共有できる可能性がある」と解説しています。
これまで植物で確認されてきた「ストレスにさらされた際に生体反応を示す」という性質について、新たにトマトで「果実が虫に食べられそうになると電気的刺激を送る」という現象が確認されました。研究チームは「果実も重要な情報を植物の他の部分と共有できる可能性がある」と解説しています。
Frontiers | Fruit Herbivory Alters Plant Electrome: Evidence for Fruit-Shoot Long-Distance Electrical Signaling in Tomato Plants | Sustainable Food Systems
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fsufs.2021.657401/full
Tomato fruits send electrical warnings to the rest of the plant when attacked by insects – Science & research news | Frontiers
https://blog.frontiersin.org/2021/07/20/tomato-fruits-send-electrical-warnings-to-the-rest-of-the-plant-when-attacked-by-insects/
植物は周囲で何が起ころうとも反応しないように思われがちですが、近年の研究でストレスによって「超音波の悲鳴」などのさまざまな反応を示すことが確認されています。
ストレスを受けた植物は「超音波の悲鳴」を上げていると研究で判明 – GIGAZINE
この反応の中でも一般的なものの1つが「電気信号」です。植物は神経の代わりに道管などの水の経路を活用して電気信号を全身に伝達しています。遺伝子操作によって電気信号を可視化できるようにしたアブラナの実験においては、虫に食われた際に電気信号が全身を伝っていることが見て分かります。
Caterpillar bites trigger plant defenses – YouTube
以上のようなストレスに対する植物の反応について、ブラジル・ペロタス国立大学のNiemeyer Reissig氏らが新たに「トマトは実が食われた場合にも電気信号を生み出している」という研究結果を発表しました。Reissig氏らによると、果実を有する植物の場合は栄養素は主に本体から果実側に流れるものの、果実側から本体に流れることはほぼないため、今回のような「果実側から本体側に流れる」という発想の研究はほとんどなかったとのこと。
Reissig氏らはファラデーケージに入れたトマトの苗の果実と本体をつなぐ茎部分に電極を接続。トマトをはじめとするさまざまな果実を食い荒らす害虫として一般的なオオタバコガを果実にくっつけ、24時間続けて観察しました。
実験の結果、オオタバコガの攻撃の前後では電気信号に明確な差がみられただけでなく、果実部分から最も遠く離れた部位ですら過酸化水素の産生などの防御反応が確認されました。
この実験の結果から、Reissig氏は「果実も植物にとって深刻な問題であるイモムシの攻撃などの重要な情報を他の部位と共有しており、この情報共有によって全身の防御反応が促されている可能性がある」と語っています。
なお、Reissig氏らは今回の研究成果はあくまで初期的なものであり、個々の電気信号を識別するというよりも「電気信号の全像を捉える」という点に焦点を充てたものだと強調しています。
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Source: ギガジン
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