新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う規制を解除する動きが世界各地で活発になっています。そんな中、「新型コロナウイルスワクチンを接種したらマスクを着用する必要はなくなるのか?」という疑問にカリフォルニア大学サンフランシスコ校で薬学教授を務めるピーター・チン・ホン氏が答えています。
新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う規制を解除する動きが世界各地で活発になっています。そんな中、「新型コロナウイルスワクチンを接種したらマスクを着用する必要はなくなるのか?」という疑問にカリフォルニア大学サンフランシスコ校で薬学教授を務めるピーター・チン・ホン氏が答えています。
Should fully immunized people wear masks indoors? An infectious disease physician weighs in
https://theconversation.com/should-fully-immunized-people-wear-masks-indoors-an-infectious-disease-physician-weighs-in-163868
COVID-19が感染拡大し始めた当初、世界保健機関(WHO)は「どんな状況であってもガーゼやコットンなどの布製マスクの使用は推奨されません」と記したマスク利用に関するガイドラインを公開し、布マスクの着用に対して否定的な立場をとっていました。しかし、2020年6月には「社会的距離の確保が不可能ないし困難な場合には、手作りまたは市販の布製マスクの着用を推奨します」と発表し、COVID-19の感染拡大を防ぐために一般市民にも布マスクを含むマスクの着用を推奨し始めました。
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その後、アメリカでは新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、2021年3月9日にはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が「新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人同士ならば、マスクを着用せずに屋内で過ごすことが可能」とするガイドラインを公開しました。しかし、アメリカで再び新型コロナウイルスの新規感染者数が増加し始めたことから、7月12日には全米看護師連盟がマスクの着用を推奨するように求める(PDFリンク)書簡をCDCに提出。7月15日にはロサンゼルス郡がワクチンの接種状況にかかわらずマスクを着用するように住民に求める決定を下すなど、アメリカではワクチンを接種した人にもマスクの着用を促す動きが再び活発化しています。
チン・ホン氏は、アメリカでマスクの着用が再び求められるようになった理由はデルタ株のような感染力の強い変異株の登場にあると指摘。例えばファイザーの新型コロナウイルスワクチンを1度だけ接種した場合、新型コロナウイルス・アルファ株に対しては51%の有効率を示しますが、感染力が強いとされるデルタ株に対しては34%の有効率しか示さないとする研究報告が存在しています。一方で、同じ研究報告では、2度の接種を終えた場合はアルファ株に対して93%、デルタ株に対して88%の有効率を示すことも報告されています。
上記のような楽観的な報告が存在する一方で、イスラエル政府は2021年7月にファイザーの新型コロナウイルスワクチンの有効率が64%に低下したことを発表しています。チン・ホン氏は研究報告によってワクチンの有効率の振れ幅が大きいことを認めつつ「すべての報告と研究において、入院を必要とする重篤な疾患に対するワクチンの予防効果の高さが示されています」と述べ、新型コロナウイルスワクチンにCOVID-19の重症化を防ぐ効果が認められていることを強調。CDCのロシェル・ワレンスキー局長は、「アメリカにおける新規死亡者の99.5%がワクチン未接種者である」と述べています。
新型コロナ新規感染者の99.6%&新規死亡者の99.5%が「ワクチン未接種者」 – GIGAZINE
さらに「新型コロナウイルスワクチンの有効率が低下してるという新たなデータは、ワクチンの接種状況にかかわらずマスクの着用を推奨するWHOの主張を裏付けています。世界全体ではワクチン接種率が低く、多様な種類のワクチンが使われており、それらのワクチンごとに新型コロナウイルスに対する有効率は異なります。これらのすべての状況をカバーするためにWHOがマスクの着用を推奨することは理にかなっています」と述べ、例えワクチンを接種していてもマスクを着用するべきだとするWHOの見解を支持しています。
また、チン・ホン氏は記事作成時点でCDCがマスクの着用を新型コロナウイルスワクチンを接種した人々に求めていない理由について、「アメリカでは新型コロナウイルスワクチンの接種率が全体的に高く、COVID-19による入院者数と死亡者数が比較的少ないため、世界の他の国々と同じ基準が当てはまるわけではありません。また、一部の専門家は『新型コロナウイルスワクチンを接種してもマスクを着用すべき』というメッセージを発信することで、人々から新型コロナウイルスワクチンを接種する意欲を奪いかねないことを危惧しています」と解説し、CDCがアメリカ国民に対して新型コロナウイルスワクチン接種後もマスクを着用するように求める可能性は低いと主張しています。
最後にチン・ホン氏は「アメリカ国内でのCOVID-19による入院者数と死亡者数が管理可能であり、医療崩壊に陥っていない限りは、新型コロナウイルスワクチンの接種者に対してマスクの着用を義務づける必要はないでしょう」と締めくくっています。
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Source: ギガジン
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