落とし穴②:「脱水」の影響は蓄積する
もうひとつの落とし穴は、水分摂取に関してです。研究グループが、熱中症で搬送された人の状況から汗の量を推定したところ、最大でも500g程度ということがわかりました(健常な体温調整機能であると仮定した場合)。通常は、強い脱水の症状が出るとはされない程度のものです。
この結果から、研究グループは「脱水症状は、その当日のみが影響して生じるのではなく、数日間の水分蓄積によって引き起こされることが示唆され」るとしています。
数日にわたって暑い日が続いたとき、普段よりちょっと多めの汗をかいたにも関わらず、とる水分の量が変らなかったとします。普段より汗として出ていく水分が多くなるので、体内の水分量は減ることになります。
1日1日の減少量は大きなものでなくても、暑い日が続くうちに、その影響は積み重なっていきます。知らず知らずのうちに脱水が進み、ある日、体温上昇や頭痛・疲労などの症状が現れる可能性があります。
熱中症の落とし穴:対策のポイントは
上記でお知らせした「落とし穴」に関して、どう対策すれば良いでしょうか?名古屋工業大学の研究チームの指摘をもとに、次の2点をポイントとしてまとめてみました。特にご高齢のご家族やお知り合いがいる方は、お気に留めておいてください。
・「暑い」「のどが渇いた」といった自覚がなくても、熱中症になるケースがあります。温度計(室温計)などを活用して暑さへの対策をしたり、こまめな水分補給を行ったりするよう心がけてください。
・加齢の影響などで、気温の上昇を感じにくくなることがあります。もし、ご家族やお知り合いの家で「室温が高いのにエアコンをつけていないな」という状況に気が付いたら、注意を呼びかけてください。
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参考資料
高齢者はなぜ自宅から熱中症で搬送されるのか? ~計算科学と熱中症搬送者統計データの融合による科学的な裏付けに向けて~
名古屋工業大学プレスリリース 2021年07月13日掲載