国際オリンピック委員会(IOC)は8日、7月23日に開幕するオリンピック東京大会に派遣する難民選手団のメンバーを発表した。祖国の戦乱や迫害を逃れた29人が、陸上や柔道、テコンドーなど12種目に出場する。
難民選手団は、前回2016年のリオデジャネイロ大会で初めて結成され、東京大会が2度目の結成となる。リオ大会の選手団は10人だったが、今回、3倍近くに増えた。
メンバーの出身国はシリアやイラン、南スーダンなど11カ国。国連の難民認定を受け、IOCの奨学金を受けながら受け入れ国でトレーニングに励んできたアスリートたちの中から選ばれた。
中には、2016年リオ大会でイラン出身女性として初の五輪メダリストとなり、体制を批判して2020年に亡命したテコンドーのキミア・アリザデ選手(22)も含まれる。
スイスからオンライン中継でメンバーを発表したIOCのトーマス・バッハ会長は8日、「(選手団は)結束とレジリエンス、そして希望の力強いメッセージを世界に届けるだろう。心から歓迎する」と述べた。
東京大会で難民選手団は、開会式では五輪発祥の地ギリシャに続いて2番目にスタジアムに入場する。表彰式では、出身国の国旗と国歌の代わりに、五輪旗と「オリンピック賛歌」が使われるという。
また難民選手団は、フランス語の頭文字からEOR(Équipe olympique des réfugiés)と略される。
選手団メンバーの発表を受けて、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は8日、「選手たちは、世界中で戦争や迫害でふるさとを追われた8000万人以上の人々の、希望と夢を体現する存在だ。誰もが人生で成功するチャンスに値するのだと思い起こさせてくれる」と激励するコメントを出した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を支援する日本のNPO「国連UNHCR協会」の報道ディレクターを務めるジャーナリストの長野智子さんも8日、「日本人選手同様、ぜひ温かい声援を送っていただければ嬉しいです。そして難民選手団の存在をきっかけに、夢を叶えたアスリートとしての姿だけではなく、これまでの彼らの長い道のりにも思いをはせていただけたらと思います。さらには世界中にいる未来の難民アスリートの夢をつなぐ応援をしていただけたらこれほどうれしいことはありません」と談話を寄せた。
国際パラリンピック委員会(IPC)も、8月24日開幕のパラリンピック東京大会に最大で6人の難民選手団を派遣する方針を発表している。
Source: ハフィントンポスト
難民選手団29人をIOCが発表。どんなメンバー?(東京オリンピック)