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「ママがふたりの家だけど、わたしもしあわせ」LGBTQの親や子どもらが500人が、岸田首相に届けた思いとは

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集まった手紙を背景に、結婚の平等やLGBTQ当事者の子育てについて語る『にじいろかぞく』のメンバーら集まった手紙を背景に、結婚の平等やLGBTQ当事者の子育てについて語る『にじいろかぞく』のメンバーら

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💬 ママがふたりの家だけど わたしもしあわせ

💬 家族のかたちはいろいろ。みんなが大切な人と「家族」として暮らせる国に変えてください

国会で2月に結婚の平等(法律上の性別が同じふたりの結婚、いわゆる同性婚)について、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と発言した岸田文雄首相。

岸田氏をはじめとする政治家らに、多様な家族について知ってもらおうと、LGBTQ当事者の子育てをサポートする団体『にじいろかぞく』が、「岸田総理に手紙を書こうプロジェクト」を企画し、500通を超える手紙を集めた。

この団体は5月10日、これまでに集まった結婚の平等の法制化などを求めるメッセージを、岸田首相に宛て提出した。

◆「ぼくらは普通に暮らしてるだけなのにね」

「ママたちにけっこんさせてあげたい」ーー。子どもが岸田首相に宛てて書いたはがき「ママたちにけっこんさせてあげたい」ーー。子どもが岸田首相に宛てて書いたはがき

プロジェクトは、岸田首相の発言に対するふたりの母親と子どもの家族の会話から始まった。

💬 ぼくらは普通に暮らしてるだけなのにね。どうして日本では、同性婚を認められないのかな?外国には、同性婚ができる国がたくさんあるんだよね?

💬 政治家の人たちが、日本に、私たちみたいなファミリーがたくさん暮らしてるんだってことを、知らないから、心配をしているのかも…

💬 じゃあ、岸田総理にお手紙を書いて、ここにいるよってお知らせしたらどうかな?

家族について岸田首相に知ってほしいことについて、子どもが書いたはがきを『にじいろかぞく』のメンバーLINEで共有すると、「自分も書いてみたい」という声が上がり、Twitterで発信すると反響が広がった。

そこで、イラストや文章でメッセージを書いたハガキを写真に撮り、SNSに投稿した上で岸田首相の議員事務所宛てに郵送するよう呼びかけるというプロジェクトに発展させた。

また、国内最大級のLGBTQイベント『東京レインボープライド(TRP)2023』でハガキを書くブースを設けると、「ひとりひとりが幸せに暮らしていける世界に」「すべての家族があたりまえに笑顔で暮らせる日本を!」など414通のメッセージが集まった。

◆「離婚をしている元夫でも構わないので、血縁のある親を」。理不尽な思いも

LGBTQ当事者の親を持つ子どもらが岸田首相に宛てたメッセージLGBTQ当事者の親を持つ子どもらが岸田首相に宛てたメッセージ

30人を超えるLGBTQ当事者らが、結婚の平等を求めて国を訴える「結婚の自由をすべての人に」訴訟が現在、全国6カ所の地裁・高裁で進んでいる。

これまでに出た地裁の判決や判断は次のとおり。

札幌地裁(2021年3月)「憲法14条(法の下の平等)違反」
大阪地裁(2022年6月)「合憲」
東京地裁(1次訴訟、2022年11月)「(結婚や家族に関する)憲法24条2項に違反する状態」

いずれも原告側が控訴している。2つの「違憲判決」が出ているのにもかかわらず、国会では法制化に向けた具体的な議論はいまだにされていない。

『にじいろかぞく』は5月10日、東京都内で記者会見を開き、子育てをしているLGBTQ当事者らが、自分たちの置かれる現状について語った。

同性パートナーと子育てをする大槻弘美さんは、学校や学童保育など公的な場所で書類を提出するとき、父、母、その他同居者の欄しかないなど、さまざまな困りごとに直面してきた。

小学生の息子は自ら、岸田首相に手紙を書きたいと言ってくれた。大槻さんは「彼は、『大人は正しいことをやってくれる』『国会議員は自分たちのメッセージに応えてくれる』と信じています。国会議員の方にはこの手紙を通し、社会がどうなると良いのか考え、1日も早く行動にうつしてほしいです」と訴えた。

同性パートナーと子育てをする野尻真智子さんはこの春、息子の小学校入学にあたり、学校にカミングアウトをした。教頭は「教員生活30年で、そういう家族にあったことはない」と、かなり動揺していたという。

息子が今回手紙に書いたのは、「みんなを家族にしてください、岸田総理、お願いします」という言葉。ただそれだけの願いなのに、なかなか実現せずもどかしい思いをしてきた。「色眼鏡で見られることもあるし、差別も感じてきました。これからの若い人たちが我々のような生きづらさやストレスを抱えず、子どもを育てやすい社会になることを望みます」と語る。

『にじいろかぞく』共同代表の小野春さんは、同性パートナーと自分自身が過去の結婚でそれぞれが授かった子ども3人を育てる「ステップファミリー」として暮らしてきた。

次男が入院しなければならなくなったとき、パートナーが入院手続きをしに行くと、「離婚をしている元夫でも構わないので、血縁のある親を連れてきてください」と言われた。また6年前に小野さん自身が癌を患った時、病状の告知などにあたり「この病院では家族として扱ってもらえるかな」と毎回ドキドキしなければならなかった。

「すでに子どもを育てる性的マイノリティのカップルは数多くいます。ですが結婚ができないことで、現状の法律に合わせて嘘をつかないといけないという不思議な生活をしています。集まったハガキには、読むと泣いてしまうようなメッセージもたくさんありました。この思いが届くことを願っています」

ゲイの小吹文紀さんは、父子家庭として子育てをし、育てた息子は成人した。自身の家族について「私たち、すごく幸せです。喧嘩もして、時にドロドロして悩んで、そしてすっごく愛に満ちた親子です」とした上で、「ただその中にちょっと仕組みがついてきていないことがあって、悲しい思いをすることがあります」と話す。

「私たちもこのプロジェクトの中で、こんなに子育てをするLGBTQ当事者の方がいるんだとか、初めて知ることがたくさんありました。首相や政治家の方にも、手紙を通して子どもの声を聞くことで、何かのきっかけが生まれたら良いなと思っています」

<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>

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