SMAPが2005年に発表した楽曲「Triangle」に今、再び注目が集まっている。
「破壊でしか 見出せない 未来の世界を 愛せないよ」
「大国の英雄や戦火の少女 それぞれ重さの同じ 尊ぶべき生命だから」
「精悍な顔つきで構えた銃は 他でもなく僕らの心に 突きつけられている」
「Triangle」は、作詞作曲を務めた市川喜康さんが、2001年のアメリカ同時多発テロ事件のあと、アフガニスタンの状況を知ったことをきっかけに制作し、SMAPに提供。命や自由の尊さを訴え、平和を祈る、反戦のメッセージが込められた楽曲だ。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、発表してから17年が経つ「Triangle」は、2月後半から連続で音楽チャートの上位に並び、元メンバーの稲垣吾郎さんも、ラジオで「平和への願いを込めてこの曲をお届けします」とコメントし、フルコーラスでオンエア。
「今こそ聴きたい楽曲」「一つ一つ噛み締めたい言葉が並んでいる」などと反響が広がっている。
お寺の掲示板にも。「SMAPだからこそ歌えた曲」
3月5日、広島市中区の浄土真宗大谷派寺院「超覚寺」の門前の掲示板に、SMAPの楽曲「Triangle」と「Love & Peace Inside?」の一節が掲げられた。Twitterにも画像が投稿され、ファンを中心に広がった。
執筆した住職の和田隆彦さんは、SMAPの楽曲を選んだ理由について、ハフポスト日本版の取材に対しこう答える。
「『Love & Peace Inside?』は、これまでも8月の終戦記念日などに何度か掲げてきました。ウクライナ侵攻が続く中で、『Triangle』が再び注目されていると知り、平和について歌うこの2曲を並べることにしました」
SMAPのメンバーと同世代で、長年好んで楽曲を聴いてきたという和田住職。大学生の頃にSMAPに出会い、社会人になってからも「カラオケで一番歌うのはSMAPの曲だった」と明かす。
「SMAPの深い歌詞が心に響きました。アイドルがこんな曲を歌うのかと、当時驚いたことを覚えています。メンバーのみなさんには発信力もあり、SMAPだからこそ歌えた曲で、今も支持されているんじゃないかと。何年経っても色褪せない曲だと、改めて感じています」
SMAPは、災害の時などにはボランティアに赴き、テレビ番組では寄付を呼びかけるなど、積極的な社会貢献を続けてきた。そうしたメンバーの行動に裏打ちされているからこそ、SMAPの楽曲には説得力があり、心を揺さぶられると、和田住職は語る。
一般的に、寺社の掲示板には標語が張られることが多い。しかし、超覚寺の掲示板には、よく知られている日本のポップソングの歌詞を掲げることも少なくない。和田住職が、仏教に通じるメッセージだと感じた歌詞を選んでいるという。
「アーティストは、我々住職とは異なる角度で言葉を紡いでいます。難しい言葉ではなく、歌詞にすることで、若い方々などにも広く伝わるのではないかと思いました」
1619年に開基した超覚寺は、広島市の中心地にあり、原爆ドームからの距離は1キロほど。原爆ドームを訪れたあとに参拝に来る人もいるという。
和田住職は「10年以上前の曲が今も色褪せないのは、戦争や紛争は繰り返され、人も社会も変わっていないことの表れでもあるのでは。外国で起こっていることだといって、日本に住む私たちにとっても他人事ではない。人をあやめることに正義も何もありません」とも訴える。
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SMAPの名曲「Triangle」に注目集まる。命の尊さを訴える歌詞、お寺の門前に張り出した住職の思い