コーヒーは温め直さないで…!温め直しで苦くなる理由。どうすれば防げる?【2024年回顧】

コーヒーを電子レンジで温めると苦味が増すのはなぜ?

※2024年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:2024年6月15日)

コーヒー好きにとって、熱い一杯は仕事のモチベーションを上げる。入れ立てをマグカップにを注ぎ、パソコンに向かう。あっという間に1時間が経ち、気がつけばコーヒーはすっかり冷めてしまっている。電子レンジで数秒温めると、さっきより苦い――。 

こんな経験はないだろうか?レンジの代わりにコンロで温め直しても、やっぱり苦い。 

コーヒーを温め直すと、苦くなるのはなぜだろう。普段の生活でコーヒーをより美味しく飲むために、専門家に理由と解決策を聞いた。 

コーヒーを温め直すと苦くなる理由

ポートランド発の「スタンプタウンコーヒー」のエミリー・ローゼンバーグ氏によると、苦味の原因はコーヒー豆の化合物だ。

コーヒー豆には、苦味のある化合物クロロゲン酸が含まれている。

このクロロゲン酸は、焙煎するとキナ酸(トニックウォーターのキニーネのような風味を持つ)とコーヒー酸に分解される。

クロロゲン酸にも苦味があるが、キナ酸とコーヒー酸にはさらに際立つ苦味と渋味があるという。

ローゼンバーグ氏によると、すべてのコーヒーにはある程度の苦味があるが、入れ立ては甘みと酸味も十分にあり、複雑でおいしい味わいを作り出している。

しかし、コーヒーを温め直すとキナ酸やカフェ酸の生成が促進されて、「苦みや渋み、ひどい風味」が加わるという。

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ブルーボトルコーヒーのマイケル・フィリップス氏が指摘するのは「揮発性化合物」だ。

コーヒーには良い香りなどを作る「揮発性化合物」がたくさん含まれている。しかしこの揮発性化合物は、温め直すことで失われるという。

「適切に焙煎して入れたコーヒーは、揮発性化合物のおかげで素晴らしい味と香りがします。しかしその名の通り、揮発性(蒸発しやすく)であるため、壊れやすいのです。コーヒーを温め直すと良いものが失われ、残った苦味成分の方に、味が傾いてしまいます」

また、ほとんどのコーヒーには細かい粒子が浮いており(特にフレンチプレスで淹れた場合)、温め直すことで、粒子から味が出てきてより苦くなるという。

ローゼンバーグ氏はコーヒーを温め直しを「完成品を調理し直しているようなもの」と表現する。

「出来上がったケーキをオーブンに戻して焼き直すようなことはしないでしょう。乾燥して風味や食感がまったく変わってしまいますから。同じようにコーヒーも完成品なので、料理し続ければ、風味が変わってしまいます」

コーヒーポットも苦くなる?

ローゼンバーグ氏は、コーヒーポットで保温しても味は落ちると話す。

「(断熱ではなく)熱を加えて保温するコーヒーメーカーやコーヒーポットでは、苦味や金属のような風味を引き出されてしまいます」

フィリップス氏も同じ意見だ。

「ダイナー風のコーヒーポットが廃れたのは、コーヒーを保温プレートで温めていたからです。保温プレートは温度を保つ一方で、ダイナーの代名詞になるほど、コーヒーを不味くしました」

ローゼンバーグ氏は、コーヒーは入れてから60〜90分以内に飲むのが一番美味しいと勧める。

焙煎のレベルと苦味は関係がある?

焙煎のレベルと苦味に関係はあるのだろうか?

ローゼンバーグ氏によると、コーヒーは焙煎レベル(ライト、ミディアム、ダーク)に関係なく、温め直すと一定程度苦味が増すが、中でもダークローストは特に苦味が際立つという。

その理由は、キナ酸やカフェ酸だ。ダークローストのコーヒー豆は、焙煎時にライトやミディアムより多くの熱が加えられるので、苦味成分のキナ酸やカフェ酸がよりも多く含まれる。そのため、より一層苦くなる。

温め直す代わりにできることは?

コーヒーの苦味対策として、「電子レンジの出力を80%に設定して温める」、「コンロでゆっくり加熱する」など様々なアドバイスが提案されている。

しかし、ローゼンバーグ氏の提案はもっとシンプル。テイクアウトで使う真空断熱カップを家で使えばいいという。

「普通、家でコーヒーを飲む時はマグカップで飲み、テイクアウト用の保温カップや断熱カップは使わないかもしれません」

「しかし、マグカップは空気に触れる面積が大きいため、早く冷めてしまいます。私は自宅でもコーヒーはテイクアウト用のカップに入れます」

家でコーヒーを飲む時も、テイクアウトなどで使う断熱カップがおすすめ

フィリップス氏も断熱カップを勧めているが、1日中温度が保てるわけではないという。

「風味は30〜45分くらいで落ちてきますが、熱さはずっと保たれます」

「おいしいコーヒーの味は冷めるにつれて変化します。コーヒー専門家のほとんどは、低い温度帯を好みます。私の場合は、甘みがよりはっきりする50℃くらいのコーヒーが一番好きです」

コーヒーを入れる容器やカップを事前に温めておくことも重要だ。

沸騰したお湯を、コーヒーを入れるポットに入れて軽く回し、直前に捨てる。カップにもあらかじめお湯を少し回し入れることで、温度がより保たれるという。

数回にわけて入れる

コーヒーを大量に作り置きすれば楽だが、家ではオフィスほど頻繁に休憩を取らないかもしれない。

ローゼンバーグ氏は、数回にわけてコーヒーを入れることで、息抜きのタイミングが作れると話す。

「朝少量のコーヒーを作り、午前11時頃にもう一度入れ直せば気分転換になります。少しずつ何度かにわけて入れることで、コーヒーの温度が保たれ、休憩もできます」

「私にとって、コーヒーを入れる過程は安らぎの時間です。仕事の手を止めて、心を落ち着け、ほっとできます」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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Kristen Aiken