食用油の使用済みPETボトルを店頭回収。日清オイリオとキユーピーの新たな試みに注目

各領域で持続可能性の実現に向けた多様な取り組みが進む現代、プラスチックに関する課題解決策の研究・開発にも注目が集まっている。

日清オイリオグループでは、2030年までの長期ビジョン「日清オイリオグループビジョン 2030」における目標の1つとして「プラスチック容器・包装の削減と資源循環の推進」を掲げており、「プラスチック使用量の削減」「リサイクル材・植物由来素材の利用推進」「リサイクルの仕組みの整備」を柱に取り組みを進めている。

2024年5月からは、大手食品メーカー「キユーピー」と協働で、食用油の使用済みPETボトルの店頭回収を開始した。

難しさの先に、可能性がある

本取り組みの内容は、食用油やドレッシングの「油が付着した使用済みPETボトル」を対象に回収するというもの。2024年5月〜11月までの半年間、千葉市内の8店舗で回収の実証実験を行った。

取り組みの経緯について、キユーピーの経営推進本部 サステナビリティ推進部 環境チームの田頭さんは「2社で話をするなかで、同じゴールを目指していることがわかってきました。それであれば、2社協働で行うのがいいのではないかと。目的が同じであれば、一緒に取り組むほうが技術的な知見も広がるでしょうし、評価サンプルも集めやすくなります」と話す。

しかし「油の付いたPETボトルを資源循環したい」という大きな方向性は同じでも、その山の登り方は1つではない。検証において、必要な評価基準の設定などの「入口の歩調合わせ」が必要だったという。

田頭さんは「大変な部分ではありますが、2社が全く同じ考え方では協働する価値が薄まってしまいますので、違いを知ることができるのは大きなポイントだと思っています」とコメントし、他社との協働の難しさと、そこから生まれる新たな打ち手の可能性について話した。

生活者に、正しく情報を届けるために

商品の容器開発を担当している日清オイリオグループ ホームユース・ウェルネス食品開発センター ホームユース開発課の平野さんは、今回の店頭回収を通じて、生活者との情報共有の重要性を再確認したと、検証を振り返る。

検証では「油付きPETボトル」を回収対象としていたが、回収したものの中には油のガラス瓶や飲料PETボトル、ポリ容器や食品トレイなども混ざっており、「何を回収するのかを伝えることの難しさ」を感じたと話す。

こうした課題が見えてきた一方で、キユーピー 研究開発本部 食創造研究所 設計開発推進部の守矢さんは、リサイクルの実証実験の呼びかけに多くの生活者が積極的に参加したという結果にも言及。「リサイクルしようというお客様の気持ちを無駄にしないためにも、企業として正しく情報をお届けし、認知を広げていきたいと思いました」と話す。

水平リサイクルのイメージ

2社は今後も、使用済みの油付きPETボトルから再びPETボトルに戻す水平リサイクルに向けた技術検証や、その他の用途に活用することの可能性について幅広く検討し、最適な資源循環スキームの構築を目指すという。

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