被災地や人道危機の現場で食料支援に取り組む国際NGOワールド・セントラル・キッチン(WCK)は、パレスチナ自治区ガザ地区で、職員を乗せた車両がイスラエル軍の空爆に遭ったことを受け、現地での活動を一時停止したことを発表した。
BBCなどによると、イスラエル軍が11月30日、ガザ地区南部のハンユニスで車両を攻撃し、5人が死亡。このうち、少なくとも3人のWCK職員が含まれていたと報じられている。
イスラエル軍は、今回攻撃の対象となった人物は、イスラエルに対する2023年10月7日のハマスの攻撃に関与していたと主張。一方、WCKは、車内にいた職員のうち誰かが10月7日の攻撃に関わっていたかについては全く知らないと説明している。
WCKは声明で、同僚が空爆に遭ったことについて「悲しみに打ちひしがれている」と述べ、ガザでの活動を一時停止したことを発表。「この想像を絶する瞬間に、私たちの心は同僚とその家族と共にあります」とつづっている。
アメリカに拠点を置く慈善団であるWCKは、2010年に設立。自然災害や人道危機の最前線にいる人たちに食料を届け続けている。
WCKの職員が、イスラエル軍の攻撃で死亡したのは今回が初めてではない。
2024年4月にも、イスラエルの空爆で20〜50代のスタッフ7人が殺害された。WCKはガザでの援助活動を一時停止したが、数週間後に活動を再開。イスラエルはその後、WCKの職員を標的にした攻撃は「重大な過ち」だったと認めている。
また、イギリスの国際NGO「Save the Children」も11月30日、職員1人がハンユニスで殺害されたと発表した。2023年10月7日以降、ガザで殺害された同団体の職員は2人目。
亡くなったアフマド・ファイサル・イスリーム・アルカディさん(39歳)は、今年5月からガザの管理チームで働いていた。11月30日午後、モスクから妻と3歳の娘が待つ自宅に帰る途中で空爆に遭い、殺されたという。
「聴覚障害があったアフマドさんは、人を助けることへの情熱、娘への誇り、そして周囲を明るくする能力で知られていました」
セーブ・ザ・チルドレンの最高責任者であるインガー・アッシング氏は、「アフマドがイスラエルの空爆で命を落としたことに対する私たちの悲しみと憤りを表す言葉が見つかりません。彼は私たちのチームにとって貴重な存在であり、彼と出会った全ての人から愛されていました」と述べた。
民間人を標的にしたイスラエル軍の攻撃が繰り返される中、「民間人や人道支援活動者に対する暴力は容認できません。これを直ちに止める必要があります。停戦が必要であり、責任の追及が求められます」と訴えた。
人道支援に関わる人たちの犠牲が後を絶たない。
国連人道問題調整事務所は11月22日、2024年に世界中で殺害された人道支援要員が、過去最悪だった2023年の280人を超えて281人に達したと発表。このうち犠牲者が最も多いのはガザ地区を含むパレスチナで、6割超を占めた。
https://twitter.com/save_children/status/1862956529638355264?ref_src=twsrc%5Etfw
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「想像を絶する瞬間」食料支援のNGO職員ら、イスラエル軍の攻撃で死亡。ガザでの活動休止を発表