【こちらもおすすめ】あなたはどんな風に死にたい?棺おけに入れる「終活スナック」で考えた私の「最期」
「ただいま〜」
久しぶりに実家に帰ってきた。
「あーおかえり!久しぶり。お姉ちゃんも帰ってきてるから、荷物おいたら居間おいでね」
笑顔で迎えてくれる母。
よくある帰省の光景だ。
年末年始が近づき、実家への帰省を考えている人も多いだろう。
家族が揃う貴重なこの機会にぜひ話題にしてほしいのが、将来的に必要となるかもしれない、親の「介護」についてだ。
センシティブな話のため、「重要だとは分かっているけど、そういう話は苦手…」と先送りにしがちだ。
今回私が体験させてもらった「家族謎解き体験『ただいまタイムループ』」では、疑似体験を通してその「予行練習」をすることができる。
設定はこうだ。
「あなた(参加者)は久しぶりに、母の誕生日を祝うため、両親の住む実家に帰省した。母は最近物忘れがひどくなっているようだ。
子ども部屋でくつろいでいると、突如「未来人」を名乗る人物が登場。近い将来、母は介護が必要になり、様々な問題に見舞われることになるという。
そこで未来人は、そうした問題を事前の会話で少しでも回避するため、『あなた』にミッションを与えるーー」
その「ミッション」とは、老後資金を引き出せなくなる状況を避けるため、母が管理している銀行口座の暗証番号と銀行通帳のありかを聞き出す、というもの。
約40分ほどの体験の中で、私は「次女」になりきり、「母」に銀行通帳のありかを聞くことに奮闘し、「父」の思い出話に耳を傾け、「姉」の仕事の忙しさを目の当たりにした。
あまりにも率直に「通帳」や「介護」について口にした私は、家族に不信感を抱かせ、「母」を不快にし、父には「お金に困ってるのか?」と聞かれ、姉には「私に介護しろって言いたいんでしょ?!」と嫌味を言われる始末…。なかなかにリアルだ。
親の介護に備えて事前に会話することの重要性は以前から感じていたが、この体験を通じて痛感したのは、その会話に必要な感情的な配慮だ。
実際、こういった話は切り出しにくく、親も「まだ元気だし」「縁起でもない」とタブー視する人も多いだろう。
しかしそれを先送りにすることで、事前に話し合っておけば回避できたかもしれない問題が発生する可能性がある。
とはいえ、私のように単刀直入に介護やお金の話をすると、家族を混乱させ不快にさせかねない。
どう切り出すのか、どう話せば不快感や不信感を抱かせず会話できるのか…。この「疑似家族」を通じて、お互いが自分の現状や懸念を共有しつつ、将来について「会話する」ことが大切だとリアリティをもって痛感した。
同イベントは、家庭内の介護の問題を、個人で抱えず社会で会話し解決していくための「OPEN CARE PROJECT」の取り組みの一環として、経済産業省が主催している。
超高齢社会を迎えている日本では、働きながら家族を介護する人の数が増えている。しかし両立は難しく、それに起因する労働生産性低下などに伴う経済損失は、家族介護者の数がピークを迎える2030年には約9兆円を超えると推計されている。
経産省は、介護と仕事の両立困難の要因の1つに、「介護の話をしにくい」という環境をあげており、今回のイベントが「介護の話題がオープンに交わされるきっかけ」になることを目指している。
家族謎解き体験『ただいまタイムループ』は、11月13日(水)〜11月17日(日)の5日間、渋谷の特設会場で開催されている。
すでに「イマーシブ体験」は受付を終了しているが、家庭内での「介護」の会話を擬似体験する「家族会話練習所」、実際に集められた家族のウソとホンネについて実際の声を集めた展示「家族ウソ辞典」、家族についてあなたがどれだけ知っているかが分かる、30問の「家族検定」など、予約不要のアクティビティも実施されている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
疑似家族と介護の話をする練習をしてみたら…。「次女」になりきった私の失敗【体験ルポ】
1: 通りすがりのコメンテータ…