猛暑日が続く日本の夏、気候危機による異常気象のニュースも増えている。
今夏も発生が予想されたエルニーニョ現象だが、8月9日(金)に気象庁が発表した最新のエルニーニョ監視速報によれば、エルニーニョ監視海域の海面水温は平常の範囲内になり、エルニーニョ現象は終息しているという。一方で、冬にかけてはラニーニャ現象の発生する可能性は高い状況だ。
そうした状況を受けて、ソニー損保では過去30年間のラニーニャ現象・エルニーニョ現象が発生した時期と水害被害額をインフォグラフィックでまとめた。
気象予報士の田頭孝志さんによる、直近で発生したラニーニャ現象と豪雨被害の解説、そして今年10月に施行される火災保険料の改定内容について紹介する。
ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の海面温度が例年に比べて、西部でより高く、東部でより低くなる現象のこと。赤道域で常に吹いている東風が強まることで発生し、これにより、例年より西側のインドネシアの海域で積乱雲が盛んに発生し、日本や世界各地で異常気象をもたらす。日本では特に「夏の猛暑」「大雨」「干ばつ」など極端な気象になりやすい傾向にある。
ラニーニャ現象と似ている言葉にエルニーニョ現象があり、こちらは平常時に比べて赤道付近の東風が弱まることで発生し、日本に冷夏や暖冬などの異常気象をもたらす原因の1つになっている。
ラニーニャ現象が発生した年にはどのような大雨被害が発生しているのか。
2017年~2023年の期間に発生したラニーニャ現象と主な大雨被害を下記の表を見てみると、「2017年秋~2018年春」「2020年夏~2021年春」「2021年秋~2022/23年冬」の3回にわたって発生しており、いずれの期間も前線や台風による大雨災害が発生していることがわかる。
また、ラニーニャ現象・エルニーニョ現象による被害総額は、2019年には過去30年間で最大の2.18兆円となった。今年の夏もラニーニャ現象の発生が予想されているため、記録的な暑さになる可能性がある。
全国各地で多発している自然災害により保険金の支払いが増加傾向にあることを受け、今年10月には火災保険料が改定される。
火災保険料の基準となる参考純率の改定は、2014年以降最大となる全国平均で13.0%の引き上げとなり、各社の火災保険料に順次反映される見込みだという。
さらに契約者間の公平化を図る目的で、水災リスクに応じて5段階に料率が細分化されることも決まっている。水災リスクが最も低い「1等地」から最も高い「5等地」の5つに区分され、水災リスクが高い地域の住民は火災保険料が値上げとなる可能性がある(今後の自然災害の状況等に合わせて適宜見直しが行われる予定)。
水災リスクの細分化は「市区町村単位」で区分された水災等地となっているが、ソニー損保では「丁目単位」のリスク細分を導入することで、より実態に沿った合理的な保険料の実現を目指すという。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
自然災害が多発→火災保険料が改定。冬にかけて発生が予想されるラニーニャ現象とは?