パリ五輪ボクシング女子で、アルジェリア代表のイマネ・ケリフ選手との試合を棄権したイタリア代表のアンジェラ・カリニ選手が、ケリフ選手に謝罪した。
カリニ選手は8月1日、66キロ級のケリフ選手と試合を46秒で棄権。試合後にはリング上で膝をついて泣き、ケリフ選手との握手を拒んだ。
【画像】棄権した後、リング上で膝をつき涙を流すアンジェラ・カリニ選手
カリニ選手は棄権の理由について、「パンチを受けて鼻に強い痛みを感じ、あれ以上続けられなかった」と説明している。
国際ボクシング協会(IBA)は2023年の世界選手権で、性別適格性検査を理由にケリフ選手を失格とした。
しかし、IOCは出場資格剥奪は「IBAの恣意的な決定」だとして、失格になったカリニ選手と台湾の林郁婷選手のパリ大会への出場を認めた。
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それにも関わらず、ケリフ選手らに対し「元男性がボクシング女子に参加している」などの誤情報や誹謗中傷がソーシャルメディアなどで拡散。カリニ選手の棄権は、火に油をそそぐ結果になった。
NBCによると、カリニ選手は8月2日、「この論争は私を悲しくさせる」とイタリアのガゼッタ・デロ・スポルト紙に述べた。
「対戦相手に申し訳ないと感じます。IOCが彼女に戦う資格があるとしたのなら、その決定を尊重します」
カリニ選手は、棄権は分別ある決定だったとする一方で、試合後に握手をしなかったことへの後悔も口にしている。
「意図的だったわけではないのです。彼女とすべての人に謝りたい。自分のオリンピックが消えてしまったことに腹を立てていました。ケリフ選手に恨みはありません。もし再会したら、彼女を抱きしめたい」
ケリフ選手と林選手は2021年の東京オリンピックも含め、数多くのボクシング女子の試合に出場してきたが、参加が論争を引き起こすことはなかった。
IOC広報のマーク・アダムス氏は、ケリフ選手と林選手について「ふたりは長年、女子の試合で競技してきた。女性として生まれ、登録され、人生を生き、ボクシングをして、女性のパスポートを所持している」と8月2日の記者会見で述べ、「魔女狩り」をしないよう警告した。
一方IBAは2日、棄権したカリニ選手側に、金メダルの選手と同じ10万ドルの賞金を授与すると発表した。このうちカリニ選手に5万ドル、イタリア国内の連盟とコーチにそれぞれ2万5000ドルが贈られる。
林選手は2日に行われた57キロ級の試合で、ウズベキスタンのシトラ・トゥルディベコワ選手に5-0で勝利。試合後に両者はグローブを外して握手を交わした。
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ボクシング女子、棄権したカリニ選手が謝罪「ケリフ選手に申し訳ない」【パリ五輪】